味わいのあるコメント
突然、テレビ局の取材を受けた時、あなたは、とっさに気の利いたコメントを言えますか。熊本のテレビ局で年に1回、視聴者の投票によって人気ラーメン店を決める番組が放送されています。熊本駅にある某ラーメン店で食事をしていた時に、偶然、その取材現場に遭遇しました。その店は製麺所が経営しており、麺に特徴があります。番組の中で「麺の歯ごたえがあっておいしいです。」という私のコメントが使われ、製麺所で麺を作っているシーンが放送されました。実に平凡なコメントでしたが、こだわりの麺の特徴を表していたので、番組の意向に沿っていたものと考えられます。
SNSやテレビのグルメ番組では、「うまっ」「やばっ」という言葉が溢れています。今回、食レポをするためには、食べ物のおいしさを伝える手法と語彙力が必要だと感じました。そこで、「おいしい味の表現術」という本を紹介します。「味ことば研究ラボラトリー」の10人の言語学者が、味の表現について研究成果を解説しています。
食べ物の味や見た目を直接表現する他に、比喩表現があります。某有名レポーターが、海鮮丼を宝石箱に例えました。つまり、海鮮を宝石に、丼や口を箱という入れ物に例えたわけです。海鮮を宝石に例えるだけよりも、宝石箱という入れ物があることで、口の中が海鮮で溢れるほど満たされる多幸感を表現できます。すなわち、比喩によって味の表現の幅が大きく広がるのです。この本では、ラーメンやカレー、ワインなど、それぞれに特有の味の分析方法や比喩表現が多数紹介されています。
私のコメントの他に、女の子が「麺が太すぎず細すぎずな所が好きです。」と答え、父親が「いい答えだね。」と合いの手を入れていました。親子の掛け合いがとても微笑ましく、ナイスコメントだと思いました。この本を読んで勉強したので、次回インタビューを受ける時は、味わいのあるコメントが言えるようにしたいと思っています。
| 書籍名 | おいしい味の表現術 |
|---|---|
| 著者 | 瀬戸賢一 |
| 出版社 | 集英社インターナショナル |
| 価格 | 990円 |
| 概要 | もう味の表現に困らない!食のおいしさを伝えるのが楽しくなる1冊!コク・キレ・のどごしの意味は?生チョコの「生」って何?など味にまつわることばを言語のプロが深掘り、徹底分析。さらにカレーやラーメン、お菓子の味を、比喩やオノマトペをを駆使して効果的に表す方法を伝授。応用自在の表現術です。引用した名文やグルメ漫画のセリフも味わい深い本書。さまざまなレトリックに驚かされ、日本語の面白さも堪能できます。 |
| ISBN | 9784797680959 |