特集

2024.6.5 第362号

神戸に来ちゃった!御影店奮闘記!

メトロ書店神戸御影店 後藤幾哉

入社から早3年、季節は晩春のはずなのに日中は夏のように暑い日々が続きます。

 そのような中頭に浮かぶのは、持統天皇の歌「春過ぎて」から始まる百人一首第二番。晴れた空の下で洗濯物を干せば、いい塩梅に渇き温まることでしょう。

とはいえ、旧暦では6月は晩夏ではあるので、暑いのも仕方のないことなのかもしれませんね。


 改めまして、後藤と申します。この度熊本本店から神戸御影店に赴任してまいりました。新天地御影において心機一転、日々是精進の心意気で邁進してまいります。

 自身の身の上話となって恐縮ですが、実は私は神戸と全く縁がないというわけではありません。 母方の墓石が新神戸駅近くの追谷墓園にあり、これまで度々三宮や元町まで足を運んでおりました。また先祖の代まで遡れば紀州、現在の和歌山にて奉行をしていたということで、勝手ながら縁を感じている次第です。

 さてそんな勝手なことを言っている私ではございますが、日々の生活、職務にて最も大事にしているものがございます。それは私が中学・高校・大学の部活と、両親・親戚、上司より学んだ「礼」です。

 元々は古代中国にて生まれた概念であり、今や日本の歴史・文化を語るうえで決して切り離せない「礼」。初めて顔を合わせる人、普段から見知っている人、幼いころからの馴染みの人。様々な人とかかわる中、超えるべきでない線や最低限持たなければならない節度があるでしょう。店員はその「礼」が最大限求められる職業であると、私個人は考えております。

 まだまだ未熟な身の上ではございますが、日々の出来事、様々な人々とのめぐり逢い、そして何よりもお客様への感謝と「礼」を忘れずに職務を全うする心意気でございます。

 長くなってしまいましたが、最後に「礼」に関する書籍を一つ紹介し、締めとさせていただきます。


書名【古の武術から学ぶ老境との向き合い方】著者:甲野善紀

書籍名 老境との向き合い方 : 古の武術から学ぶ
著者 甲野善紀
出版社 山と溪谷社
価格 1,540円
概要 古希を過ぎ、私の技は今までで最も使えるようになり、さらに進展し続けている。 本書では、私自身のこれまでの生き方や武術研究者としての気付き、それをいかに日々の生活の中で考え、そこで気付いたことで日常の場面に役立てるかといったことを書いています。 本書が、生きているということの不思議さや精妙さを味わい、自分自身の内側を掘って、人が生きているということを深く見つめ直す一つのきっかけになれば、著者としてこの上ない喜びです。
ISBN 9784635490559

 古武術と言えばこの人ともいえる、甲野善紀先生の著作であるこの書籍。「老境」と書名に書いてある通り、これから老いていく、又は老いに入り始めた方に向けた、余裕心の持ちようを説いた一冊となります。

 古武術と聞いて忌避感覚を持つ方々もいらっしゃるかもしれません。ですがこの書籍では武術をメインではなくいわば調味料のように扱われております。先程の「礼」についても触れられており、生涯を通して自分が納得する生き方をする一助になる一冊です。


 神戸御影店のお客様、これからどうぞよろしくお願いします。