メトロ書店 副会長川崎紀子
最近街角や駅構内にピアノが置いてあるのを良く見かける。テレビでも世界中の場所で色んな人たちが弾いている番組が放映されている。いかついマッチョのおじさんも可愛い女の子も楽しそうにピアノに向かっている。音楽は世界共通の言語だ。
そんなピアノで良く演奏されるのがショパンの「幻想即興曲」だ。私も音大の頃弾いたことがあるが、何かに「100万人に一人しか弾けない難曲」とあった。では私もその中の一人に入るのかと思い、久しぶりに楽譜をひろげた。ところが「オーマイガー!」
指が言うことを聞かない!昔のように動かない!むかしむかし音大のピアノの先生から指導され、私も子供たちにさせていた「ゆっくり弾き」やリズムを変えて練習した。本当に久しぶりに2時間も真面目に練習した。
短調から長調へ変わる中間部は歌詞をつけて歌いたくなる美しいメロディーだ。ピアノの詩人ショパンならではの名曲である。
ところが先日たまたま見たユーチューブで弾いていた人は、めちゃめちゃ速い速度とピアノが壊れそうな勢いでガンガン叩いていた。どうだすごいだろうと言わんばかり。中間部の美しいメロディーもそっけなくがっかりした。
ピアノは叩くものではないし、速さを誇示するものでもない。大きな音を出すものでもない。
ピアノは歌う楽器なのだ。作曲家の意図を尊重し忠実に再現するのが演奏者の勤めだ。
人前で弾くのなら速さや音の大きさよりももっと細かい表現に気を遣ってハートフルな演奏をしてもらいたいものだ。
メトロ書店熊本本店のカフェVERDEにもグランドピアノを置いていますので、ぜひハートフルな演奏をお待ちしています。