ぶくぶくコラム

2023.6.5 第350号

熊本県 瀬戸石星人様

 はじめまして。私は、あなたを夢の世界へ案内する、ナビゲーターの星人と申します。

 私の大好きな百人一首の世界へと、あなたと一緒に飛び混んでみようと思います。さて、どんな一夜となりますことか、お楽しみください。百人一首は、角川ソフィア文庫 谷知子編 百人一首(全)を参考にしています。

 あなたのために、春の野に出て若菜を摘む私の衣の袖に、雪がしきりに降りかかることよ。

 うー寒い、春だと言うのに、このような天気になるとは思ってもいなかった。ねずみ色の空から雪がハラハラと降り続く。

 人目をはばかって、こっそりと家を出て来たが、この広い野原までくると建物はなく、冷たい風がヒューヒューと吹きすさぶ。この身はこごえて、冷え切ってします。両手はかじかんで、思うように動かせないではないかこの曇天がうらめしい。

 なぜ、こんな所にやって来たかって。それは彼女に美しい若菜を届けたいからだ。美しい若菜こそ、美しい彼女に似あうことだろう。

 春が待ち遠しかったように、今は彼女に会えることが待ち遠しい。おぉ、みずみずしい若菜を見つけたぞ。早く、早く彼女の元へ届けたい。私の心は、熱く燃え上がっている。ふと見ると、若菜を探すのに夢中だったので、衣の袖に雪がしきりに降りかかっている。袖が濡れてしますのもわからない程に、彼女への想いは強かったのだ。私の心はすでに、彼女の元にあったのだ。

 さぁ、みずみずしい若菜よ。私を彼女の元へと運んでおくれ。私の心をこんなにも奪ってしまった彼女の元へ。さあ!!


一五 君がため 春の野に出でて 若菜摘む

わが衣手に 雪は降りつつ 光孝天皇


編集部より:瀬戸石星人様、素敵なコラムをありがとうございました。

メトロ書店でもぜひ百人一首大会をしたいといつも考えています。