版元さんリレーエッセイ

　書店にはたくさんの本があって、どれを選んでも何かしら出逢いはあるのだろうけれど、どれを選んだらよいかわからない、という場合もありますよね。目的の本をただ探す、も良いけれど、それだと味気ない。ちょっと新しいことも知りたい、でもどれを選んだらよいのだろう。日本ではいま1年に7万冊、1日に約200冊の書籍が刊行されていると言われています。この中から探す、って難しい。

　そんなときに、書店という場や書店員という人が、役にたちます。書店なんてどれも同じ、と思われるかもしれません。特にチェーン系・複数店舗のあるお店は「売れ筋ばかり」と思われることもあるようです。多くの方が求めている本が探しにくいと大変なので、目立つところに同じような人気の本があるかもしれませんが、書店さんは必ずそれぞれ違う顔（売り場）をしています。

　ちょっと、書店をもう少し深掘りして楽しんでみませんか。

　メトロ書店には、川崎綾子さんという目利きがおられて、素敵な本を紹介してくれています。もちろん、いつでも必ずご本人がおられるわけではありません。直接お勧め頂ける機会があると一番うれしいかもしれませんが、書店という場が大事なのは、そういう目配りをできる方たちが売り場を作ってくれているということ。

　にぎやかな店頭も工夫は詰まっているのですが、少し奥のコーナーを何気なくみていたら自然に目にとまったあの本、この本がなんだかどれも面白そう……、だったりするはずです。それは、書店員さんが本と人の出会いの場を工夫してくれているということ。

　そうした出逢いのある書店を川崎さんは「セレンディピティの場」と表現されていました。セレンディピティとは、思いがけない偶然による幸運、素敵な偶然のことです。

　メトロ書店さんは、複数の店舗がおありで、それぞれに違った展開をされています。他県へ遊びに行ったとき、観光名所もよいけれど、馴染みの書店さんの別店舗、ぜひのぞいてみてください。面白い本、ご当地本など、また違った出逢いが楽しめるはずです。

【よはく舎　小林えみ様プロフィール】

ひとり出版社「よはく舎」代表。主な刊行物は絵本『AHIRU LIFE.』1・2・3、『ひとり出版入門』など。

＊編集長より：小林様素晴らしいエッセイを頂き、ありがとうございます。過分におほめ頂き、恐縮です！by川崎

☆よはく舎さんの人気絵本「AHIRU LIFE」