特集

2023.3.5 第347号

神戸御影店おかげさまで15周年

メトロ書店神戸御影店 店長 室田大祐

メトロ書店神戸御影店は今年でオープン15周年を迎えます。いつも繰り返しになってしまいますが、ご愛顧いただいているお客様には心より感謝を申し上げます。


毎年この時期になると周年をテーマにしたメトロニュースの執筆の順番が私に回って来るのですが、いつも「何を書いたらいいのだろう」と悩んだ末に、個人的なことを書いているだけになってしまうのが非常に申し訳ないなと思いつつ、今年も個人的なトピックを少々。メトロニュースを毎号楽しみにされている熱心なファンの方しか存じ上げないかとは思いますが(以前書かせていただいたことがあったと記憶しています)、わたくし長いこと福岡を拠点に活動する某48グループのファンをやっておりました。なぜ「やっておりました」と過去形で書いたかと申しますと、7年来の推しメンが去年の8月をもって卒業してしまったのです。ここ数年いつかその日が来ることはある程度覚悟はしていましたが、活動最終日に本人に会った時は涙がこみ上げてきて上手く言葉が出て来ませんでした。「推しは推せるときに推せ」とはまさに至言だと実感した瞬間でした。ところで、あくまで私見ですが昨今「推し」という言葉が世間一般で使われることが当たり前になってきた様に感じます。対象もアイドルやアニメのキャラクターだけではなく多種多様になっており、一億総推し時代と言っても過言では無いと思います。そしてお客様にとってメトロ書店も「推し」と言っていただけるような書店になれるよう努力していきたいと思います。

 さて、皆さんは平山瑞穂という作家をご存知でしょうか?私自身名前は聞いたことがあるだけで、作品は読んだことが無い作家でしたが、今年の1月に光文社より出版した「エンタメ小説家の失敗学」

という新書のタイトルが気になり手に取ってみました。恩田陸や森見登美彦等を輩出した「日本ファンタジーノベル大賞」を受賞したことで作家デビューを飾った平山瑞穂ですが、刊行した小説がことごとくセールスにつながらず、いつしか出版社では売れない作家という烙印を押されてしまった顛末がこの本には書かれています。読者の好みの傾向に迎合できない書き手としてのプライドや、担当していた編集者への恨みつらみなど、文章のところどころに共感できない(本書の中でもポイントとなるフレーズとして出て来ます)部分が多く、読んでいてモヤモヤが残りました。ただ、今の出版業界における作家の立ち位置や、自分の書きたいことだけを書くだけでは食べていけない厳しい世界なのだということが伝わってきました。逆に平山瑞穂の作品を読んでみたくなりましたが、残念なことに多くの作品が出版社が在庫を持っていないため読むことが出来ないのが残念です。


最後になりましたが、これからもメトロ書店神戸御影店をご愛顧の程よろしくお願い申し上げます。


神戸御影店に呼んでほしい作家さんご意見募集中♪詳しくはスタッフまたはメールまで。

書籍名 エンタメ小説家の失敗学
著者 平山瑞穂/著
出版社 光文社
価格 968円
概要 いつの時代もあとを絶たない小説家志望者。実際にデビューまで至る才人のなかでも、「食っていける」のはごく一握りだ。とりわれエンタメ文芸の道は険しい。ひとたび「売れない」との烙印を捺されたら最後、もう筆を執ることすら許されない―。そんな修羅の世界に足を踏み入れてしまった作家は、どのような道を辿るのか。華々しいデビュー、相次ぐ映画化オファー、10万部超えのスマッシュヒット―。栄光の日々すら塗りつぶす数々の失敗談と、文芸出版の闇。商業出版の崖っぷちから届けられた、あまりにも赤裸々な告白の書がここに。「書く」前に「読む」べし。
ISBN 9784334046460