老後とピアノを読んで
私は55歳のどこにでもいるフツーのおじさんです。「老後とピアノ」という題名なので、著者の稲垣えみ子さんは、てっきりご高齢の方だと思っていたら、意外にも私とほぼ同じ年齢の方でした。私が40歳の頃、いわゆる大人のサックス教室でサックスを習い始めました。ある程度吹けるようになってくると、つい自分をかっこよく見せようとか、自分の思い入れのある曲を披露しようとか、そういった見栄がでてきます。そういう時に限って聴衆の反応はあまり良くありません。自分の秘めた思いとは裏腹に、やはり、皆さんが良く知っている曲の方が感動してもらえるのです。当たり前の話ですが、まさに、この本に書いてあった「選曲が9割」という言葉に、最も共感を覚えました。大人の楽器演奏において、残された短い人生、老いのために練習する時間や能力も次第に限られてきます。これまで薄々感じていたことではありますが、易しく吹けて人に感動してもらえる曲を選ぶことが重要だということを、この本を読んで確信するに至りました。また、稲垣さんの場合もそうですが、下手くそでマイペースな私を、常に褒めて導いてくださる先生の存在も、とても大きいと思います。先生には、とても感謝しています。さて、レトロ書店熊本本店のカフェVERDEさんでは、音楽のイベントが開催されています。いつも欠かさず聴きに行って、すごくいい曲だなあと感動する自分と、この曲はサックスで吹けないかなという気持ちで聴いている自分が居ます。こういった、生演奏を聴いて演奏者さんと話す機会を通じて、「老後とサックス」をさらに充実したものにできたらいいなと思っています。
書籍名 | 老後とピアノ |
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著者 | 稲垣えみ子/著 |
出版社 | ポプラ社 |
価格 | 1,650円 |
概要 | 恩田陸氏、清水ミチコ氏、推薦!朝日新聞を退職し、始めたのはピアノ。人生後半戦、「いま」を楽しんで生きるエッセイ集。 |
ISBN | 9784591171639 |