ステンドグラス

2022.2.5 第334号

「コロナに負けるな」

メトロ書店副会長 川崎紀子

お正月、数人からの賀状に「年賀状は今年限りにさせてください」という添え書きがあった。

年齢を重ねてくると年に一回の年賀状が安否確認にもなるのだが、年賀状が来なくなるとお元気なのかどうかわからなくなる。

年賀状が来なかった名古屋に居る親友の安否が心配で、電話をかけてみた。いつもと同じ明るい声。だが何かおかしい。誰と話しているのか分かっていないのだ。「私実家が京都なの。京都に両親がいるの」

知ってるよ、京都のお家に遊びに行って大文字焼きを一緒に見たよ。ご両親はもう数十年前に亡くなっている。一方通行のおしゃべりで電話を切った後、ご主人から電話があり、彼女は認知症になって一人で家に置いておけない状態だと言う。返す言葉がなかった。

ご主人と別居が長く、子供さんたちも遠くへ行ってしまって、独り暮らしが長かった友。大学の四年間、いつも一緒でお互いに結婚した後も家を訪ねあっていたのに。

彼女は生きているが、会話もできない。何と悲しいことだろう。

元気なうちにもっと電話して、会って話しておけばよかった。

コロナが終息したら会いたい人に会いに行き、見たい展覧会、聴きたい音楽会にも出かけよう。この自粛の期間中に体力をつけて備えよう。


コロナに負けてたまるもんか!