日本のイーロン・マスクは誰かご存知ですか?
イーロン・マスクと言えば、テスラ、X(旧Twitter)、スペースXで世界的に超有名な経営者です。では、日本のイーロン・マスクは誰かと聞かれると、あなたはホリエモンと答えるでしょうか。70年前に、イーロン・マスクと同じ計画を考えた日本人をご存知ですか。それは、第二次世界大戦で「隼」戦闘機を設計し、戦後は「ペンシルロケット」や数々の国産ロケットを開発した元東京大学教授の糸川英夫博士です。小惑星探査機「はやぶさ」が、小惑星「イトカワ」に着陸して地球にサンプルを持ち帰りましたが、この「イトカワ」の名称は、糸川先生に敬意を表してつけられたものです。
イーロン・マスクは、2017年に地球のどんな場所にでも一時間以内で移動可能な「旅客ロケット便(BFR構想)」を発表しました。糸川先生は1954年に、太平洋を20分で横断する「ロケット旅客機(AVSA構想)」を発表して、小型の「ペンシルロケット」から研究をスタートさせて次第にロケットを大きくし、内之浦宇宙空間観測所を建設して、日本の宇宙探査の基盤を確立しました。
糸川先生が書かれた「逆転の発想」などの多くの著書は書店で入手できなくなりましたが、令和6年2月に発売された「国産ロケットの父 糸川英夫のイノベーション」という本をメトロ書店で見つけた時は、うれしくてすぐに購入しました。著者の田中猪夫氏は、糸川先生が主催した「組織工学研究会」の事務局員を務め、この本では糸川先生のイノベーションの手法に焦点を当てて紹介しています。
私が若かりし頃は、糸川先生のロケット開発のエピソードを一生懸命読んでいましたが、社会人になった今は「相手の視点に立つ」、「常識への反逆の精神」、「先人の思想や哲学を学び自分のものにする」、「システム工学は焼き鳥の串」などの糸川式イノベーションの手法に興味を持ちました。この手法は、JAXAの宇宙探査に脈々と引き継がれ、糸川先生の考えを学んで自分のものにしたいと思いました。
書籍名 | 国産ロケットの父糸川英夫のイノベーション |
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著者 | 田中猪夫 |
出版社 | 日経BP |
価格 | 2,200円 |
概要 | 2024年1月20日未明、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小型月面着陸実証機SLIMが月面着陸に成功した、と発表した。その後、世界初のピンポイント着陸に成功したことが明らかになり、2台の自律型小型ロボットによる画像データ送信にも成功した。我が国の宇宙開発を担うJAXAのルーツを遡れば、戦後ゼロからロケット開発に取り組んだ東京大学の糸川英夫研究室に行きつく。本書は、日本の宇宙開発の父で、次々にイノベーションを生み出した天才・糸川英夫(1912~1999)のイノベーター人生に焦点を当てた評伝である。 |
ISBN | 9784296001859 |