版元さんリレーエッセイ

2024.2.5 第358号

かもがわ出版東京支社 天野みか様

2024年が明けたばかりですが、なんと重苦しい日々でしょうか。地震被害に遭われ、いまも避難生活を余儀なくされている方々に心からお見舞い申し上げます。そして、亡くなられた命すべてのご冥福を祈ります。


いま、パレスチナの地でも、大切な命が毎日奪われており、イスラエルによる占領と封鎖を止められずにいる国際社会の一員として、歯痒い思いとちっぽけな自分を痛感しています。

これまでに、『パレスチナ・そこにある日常』(2010年)、『それでもパレスチナに木を植える』(2016年、ともに未來社刊)、『パレスチナのちいさないとなみ――働いている、生きている』(2019年)、『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(2023年)を写真家の高橋美香さんとともに作ってきました。『パレスチナのちいさないとなみ』は、パレスチナ・オリーブ代表の皆川万葉さんとの共著です。

2008年ごろに高橋さんと出会い、パレスチナの人たちと交流を続けている姿勢に共鳴し、一緒に本作りを始めました。最初の本は「高橋さんの写真と文章を通じて、『そこにいる人たち』と出会ってほしい、繋がってほしい」という思いで作ったことを覚えています。2冊目の本の帯には「絶望とわずかな希望のはざまで」というコピーをつけました。この「わずかな希望」を頼りに編んだことを思い出します。

よりいっそう読者にとってパレスチナに生きる人たちが近しい存在になるにはどうしたらいいかを考えた3冊目。多様な人たちの姿を、そして、働く姿を描くことでそれが可能になるのではないかと試行錯誤しました。長年、パレスチナの生産者の方々と協同されている皆川さんからは、いまも刺激を受け続けています。4冊目の最新作は、女性たちの日常をもっと知ってもらえたら……という思いを込めて作った写真絵本です。

これからも、とにかくあきらめずに、一刻も早くパレスチナの人たちが置かれた不条理な状況に終止符が打たれるよう、「そこにある日常」を見つめ続けたいと思っています。


【天野みか様プロフィール】

2018年よりかもがわ出版東京事務所の編集部に所属。子どもの本好き。リンドグレーン作品の世界に浸って育ちました。いつの頃からか、若い人に向けた本作りを意識するようになっています。

*編集部より

天野様素敵なエッセイをありがとうございました。パレスチナ関係の本がなかなか見つからなかったので、早速フェアをいたします。

書籍名 パレスチナ・そこにある日常
著者 高橋美香
出版社 未來社
価格 2,200円
概要 終わらないインティファーダー2000.09/2001.01(エルサレムをふたつの国の首都に!/ヘブロンー入植地と隣り合わせの町/ガザー八〇万人の難民と三〇万人の地元民/ラファハー分断された家族/九月一三日/デモーサブラ・シャティーラ難民キャンプの追悼..
ISBN 9784624410919
書籍名 それでもパレスチナに木を植える
著者 高橋,美香
出版社 未來社
価格 2,200円
概要 絶望とわずかな希望のはざまで―。前著『パレスチナ・そこにある日常』から6年、分離壁・入植地の増大、不当な逮捕・拘束はさらにエスカレートしている。“自分にできることなどなにもないのではないか”と挫けそうになりながらもかの地の人びとに魅せられ通いつづけるカメラマンと、彼女を大きな愛で受け入れる「家族たち」との交流をとおして、「パレスチナ問題」の現実を描く。
ISBN 9784624411022
書籍名 パレスチナのちいさないとなみ
著者 高橋美香、皆川万葉
出版社 かもがわ出版
価格 1,980円
概要 農場の仕事、オリーブの収穫、床屋、漁師、屋台、路上販売、俳優、映画監督、出稼ぎ労働者、フェアトレード製品の生産者…などなど。私たちの生活を支える毎日の仕事。紛争、封鎖、占領、抑圧という辛く悲しい現実のなかにも、パレスチナの人びとのいとなみを支える仕事があり、働く人びとには笑顔があります。「仕事と尊厳」を考えるパレスチナの本。
ISBN 9784780310269
書籍名 ママとマハ : パレスチナに生きるふたり
著者 高橋,美香,1974-
出版社 かもがわ出版
価格 1,980円
概要 パレスチナに生きる女性たちのちいさな願い、祈り、声。バスマ(ママ)は分離壁が造られ土地を奪われてしまったビリン村に、マハはたび重なる軍事侵攻に苦しめられているジェニン難民キャンプに暮らしています。わたしたちと同じように、懸命に生きているママとマハ。「いつかいっしょにお茶を飲もう」という願いは、果たして叶うのでしょうか。
ISBN 9784780312546