特集

2022.5.5 第337号

春に考える 2022本屋大賞 「同志少女よ、敵を撃て」

東京事務所 ドリー

新年度が始まって一カ月経ち、生活も大分落ち着いてきた頃でしょうか。メトロニュースをお読みのみなさま、ご無沙汰しておりました。メトロ書店東京事務所のドリーです。春は新緑の季節、すがすがしい風が吹いて一層読書に取り組むことが出来そうです。慣れない新生活で心身ともに疲弊している方には現実逃避としての読書ももちろんおすすめです。俗にいう五月病と上手く付き合いながら気張らず過ごしていきましょう。

さて、今回のメトロニュース特集では先月発表された本屋大賞をとり上げたいと思います!

本屋大賞は、書店員の投票によってノミネート作品および受賞作品が決定される文学賞です。キャッチコピーは「全国書店員が選んだいちばん!売りたい本」書籍と触れ合う時間が多い書店員のイチ押しする本は、どう考えても面白いに違いありません!メトロ書店からも本屋大賞に投票した書店員がもちろんおりますよ。

栄えある今年の本屋大賞は、『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬著、早川書房、2090円)。

表紙に描かれている女性がおそらく主人公でしょう。本書を手に取った時からその女性の表情にくぎ付けでした。内容は、第二次世界大戦下の独ソ戦を舞台にした作品です。戦争によって家族を失った女性がソ連の狙撃手として成長していく物語・・・と簡単にまとめたくないですね。

読み進めていくうちに一言では片づけられない、主人公の繊細な心の動きを感じとることが出来ます。戦争とは何なのか、そこで唱えられる正義とは何なのか。狙撃兵として戦う女性と家庭にいる女性の差異は何なのか。男女平等の達成とはいかなるものなのかといった点を考えさせられる深い作品です。最後まで臨場感に満ち満ちた圧巻の作品です。とりわけ射撃における「距離と見え方」を覚える訓練の様子が興味深かったです。本書が逢坂さんの処女作とは!凄すぎます。

書店員は女性が多く、本書が本屋大賞に選ばれた理由も納得です。しかし、性別問わず万人に読んでもらいたい。私は本書を読みながらウクライナ侵攻戦争のことを考えずにはいられませんでした。現在、世界ではウクライナのみならずミャンマー、シリアなどで争いが続いています。戦争が行われていない時代はなかったという言葉すら思い浮かびました。次の社会を作っていくのは今の世界を生きる我々です。遠い国のこととは考えず、情報収集を怠らないこと。それが平和実現につながる支援の第一段階であると考えます。

読書を通じて、万人が命を脅かされることなく安心して暮らせる社会を目指していきたいと思います。

2022年本屋大賞受賞作「同志少女よ、敵を撃て」はメトロ書店全店にて大好評発売中です。

書籍名 同志少女よ、敵を撃て
著者 逢坂冬馬/著
出版社 早川書房
価格 2,090円
概要 1942年、独ソ戦のさなか、モスクワ近郊の村に住む狩りの名手セラフィマの暮らしは、ドイツ軍の襲撃により突如奪われる。母を殺され、復讐を誓った彼女は、女性狙撃小隊の一員となりスターリングラードの前線へ──。第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。
ISBN 9784152100641