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今月のメトロニュース
2018.6/5発行 No.288  
特集 版元さんリレーエッセイ 次に来るのはこの一冊!

次に来るのはこの一冊!
作家 仁木英之

脳科学捜査官 真田夏希 全国三千万メトロ書店ファンの皆さまこんにちは。前回ご紹介した『本のエンドロール』はお読みいただけましたでしょうか。本屋大賞候補などに名前が挙がればさらにベストセラーへの道を驀進する名作。ぜひご一読下さい。
 さて、次にくるのはこの一冊、今回はこちら! 『脳科学捜査官 真田夏希』(鳴神響一・角川文庫)であります。小説家が小説を読むとき、読者として楽しんではいるのですが、その一方でどこかで暗い感情を抱いていることがあります。それは作品内で自分がやろうとしたことを、さらに上のレベルでやられてしまうことです。私はファンタジーや歴史がバックボーンですが、警察小説にもチャレンジしていました。残念ながらセールス的には失敗に終わったのですが、鳴神さんは見事にやってのけられました。『脳科学捜査官真田夏希』でのヒロイン、真田夏希は脳科学、つまり人の心のうつろいを分析できる能力を駆使して犯罪の真相へと至っていきます。特殊能力というわけではなく、しっかり学べば身に付く力です。しかし、彼女がその道を選ぶに至る経緯なども横糸として物語を彩っていきます。そのやり方が実に巧みで、読者が真田夏希に親しみを覚えずにはいられないんですね。メディアでも脳科学という言葉は随分と耳慣れた言葉になりました。実際は非常に範囲が広く、学問としては曖昧な部分のあるものですが、それだけに我々一般人にはすごいものと捉えられがちです。鳴神さんは物語の中での脳科学の定義づけをきっちり行っておられると同時に、世間が持っているぼんやりとしたイメージもまたうまく使われているように思います。物語を読むことで新たな何かを得たりすると気分が良くなりますが、この作品はそのあたりのツボの押さえ方も絶妙です。さらに登場人物の名前、これは鳴神さんのホームグラウンドである歴史小説がお好きな方なら思わずにやりとしてしまうところでしょう。悔しくも面白い本作をぜひ!


(仁木英之プロフィール)

大阪生まれ。主な作品に『僕僕先生』『千里伝』『黄泉坂案内人』『大坂将星伝』など。近刊は『千夜と一夜の物語』(文藝春秋)『まほろばの王たち』(講談社文庫)。数年ぶりに丸刈りを卒業しようと思っていたら頭皮が許してくれませんでした。

*仁木英之先生の新作「奏弾室」不思議なピアノ教室を舞台にした一夏の物語。
   徳間書店より2018年3月8日発売!


 
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