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今月のメトロニュース
2017.6/16発行 No.265
特集 版元さんリレーエッセイ ステンドグラス 横浜だより

特集

もう読みましたか?本屋大賞受賞作
恩田 陸「蜜蜂と遠雷」


メトロ書店本店 室田大祐

はじめまして。5月よりメトロ書店に入社しました新入社員の室田大祐と申します。神奈川県は川崎市よりメトロ書店に転職するためここ長崎市にやってまいりました。地域のお客様に愛される書店作りをモットーに頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて昨今小説に贈られる賞が巷に溢れていますが、今一番売上に直結していると言われているのが本屋大賞なんです。そんな本屋大賞ですが、今年は恩田陸の『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎、1944円)が受賞しました。ご存じの方も多いとは思いますが、「蜜蜂と遠雷」は今年1月に発表された第156回直木賞をすでに受賞していました。本屋大賞が発表された時おそらく多くの書店員がこう思ったはずです、「ちょっと待った!直木賞を取ってるのにその上本屋大賞もかよ!しかも本屋大賞に至っては2回目じゃん」と。そもそも本屋大賞が出来た経緯をひも解くと、実行委員会を立ち上げたメンバーの一人である本の雑誌社の杉江由次は、出版界の苦境のなかでも本を売る大きな機会であるはずの直木賞で、受賞作がゼロだったことに憤り、本屋大賞の設立を思いついたということなんですが、その本屋大賞が直木賞と同じ作品を選んでどうするんだと、出版界のことを考えるなら違う作品を選ぶべきだろうと。恥ずかしながら私もまだ作品を読んでもいないにもかかわらずそんな風にいかにも知ったような口をきいていた一人でした。そう「蜜蜂と遠雷」を読むまでは・・・
マエストロ ユウジ・フォン=ホフマンに見出され養蜂家の父親と暮らす日本人の風間塵。かつて天才少女と呼ばれ内外のジュニアコンクールを受賞しCDデビューも果たしながら、母親の死によりピアノを止めてしまった栄伝亜夜。家庭を持ちサラリーマンとして働きながらコンクールに臨む最年長の高島明石。ジュリアード音楽院で学ぶ優勝候補のマサル・C・レヴィ・アナトール。「蜜蜂と遠雷」はピアノコンクールに出場するこの4人のコンテスタントを軸として展開していきます。
まず私が驚いたのがストーリーはもちろんのこと、音楽に対する深い理解に基づいた言葉の表現力が秀逸で、音という目で見えない物を文字で表現するということがすんなりと体に入ってくる感覚でした。読書をするというより、まさに自分がコンクール会場にいて、生でピアノの演奏を聴いているような感じがして、大袈裟に聞こえるかもしれませんが、まるで行間から音楽が聞こえてくるような気さえしました。
そしてこの作品が7年もの歳月をかけて書かれていることにも驚かされました。7年といったら書き始めたときに小学1年生だった子供が中学生になるだけの年月が経っているわけで、恩田陸自身は本の雑誌増刊の本屋大賞特集号で「きちんとラストまで辿り着けるのかどうか自信が持てない。」と書いていましたが、一貫したストーリーで全く違和感を感じさせないところに恩田陸の確かな文章力というものが現れているように感じました。
直木賞を受賞していようが、過去に本屋大賞を受賞していようが、そんなことはこの作品には全く関係なく、本に携わる者として単純に読んで欲しいと思える一冊です。

ちなみに今年の本屋大賞の5位に選ばれた「桜風堂ものがたり」の村山早紀先生は長崎在住の今どんどん人気が出てきている作家さんです。当店でもサイン会も何度もさせて頂いた注目の作家さんです。


 
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