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今月のメトロニュース
2016.8/5発行 No.255  
特集 版元さんリレーエッセイ ステンドグラス

ステンドグラス
「精霊流し」
長崎では8月が近づくと町のあちこちで初盆を迎える家の人達が精霊船を作り始める。
 長崎独特の船で舳先(へさき)が長く底には車輪がついている。家紋入りの提灯をつけ造花や生花で飾り立てる。お盆が来るまでに仕上げて、精霊流しの日15日には提灯に灯をともし、故人の遺影を掲げ、好物やお供えを載せる。そして、家族や知人たちと流し場まで、ゴロゴロと引いていくのだが、その間ずっと爆竹や花火をあげながら行くので、どのくらいの量が要るか、花火屋さんに相談する。家から大波止の流し場までの時間で花火の量が決まるのだ。花火代だけで数万かかる。
 メイン道路は夕方から数時間車両通行止めになり、道の両側は見物の人達でいっぱいになる。TV中継も出て、この船は○○さんのお父さんだの、お婆さんだのと解釈がつく。 長崎の名士だと必ず中継場所の前を通るよう要請される。有名な企業や個人だと船は何艘も繋がり、見物人はすごかね、さすがやねと囁きあうのである。
 以前は見物する方だったが、会長である義父の初盆に初めて精霊船を出した。まわりの人達がこぞって手伝ってくださり、伝統に従って厳かに流した。
 なぜあんなに爆竹を鳴らすのかと以前は不思議に思っていたが、あのバリバリという音は悲しみの捌け口なのだ。あのすさまじい音と共に流し場まで歩き、遺影だけを取り出して船をあとにすると、すっきりした。
 精霊船は団平船に乗せられて島の焼き場で処分されるのだ。たった数時間の為に船や花火や引き手の衣装や飲食代などかなりの費用が嵩むがくんちと共に流し場長崎人の心意気が感じられる。
 こんなに賑やかな精霊流しなのに、さだまさしの歌がなぜあれほど悲しいのか。船を流したことのある人には心に響く歌なのである。



(メトロ書店 副社長 川崎紀子)


 
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