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メトロニュース
2016.6/12発行 No.253  
特集 版元さんリレーエッセイ ステンドグラスぶくぶくコラム

ぶくぶくコラム
福岡県 稗田和美様

息子が中学生になり、本当に手がかからなくなって、自分の時間がかなり増えた。

そこで久々に長編小説を読みたくなって購入したのが、三浦しをんの「風が強く吹いている」(新潮文庫、907円)だ。

文庫の表紙が大好きな現代美術家の山口晃で、なんの予備知識もなく直感で手に取った。 内容は箱根駅伝を目指す大学生の物語だ。そしてその大半がずぶの素人。

本を開かずとも、サクセスストーリーだし、青春物語だと分かるけれど、読み終わると心にずっしりと何かが残った。今、もう一度初めから読み返しているところだ。

菓子パンを盗んで走り去る走(かける)を 自転車で追いかけるハイジの疾走感あふれる描写にまず惹きつけられる。

二人とも元陸上部男子で日々走る人生を送ってきたが、走は暴力事件を起こして以来たった一人で目的もなくトレーニングを続け、ハイジはケガによる故障で大学入学後走ることはなかった。 そんな二人が偶然出会うところで物語は始まる。

ハイジと同じ大学の新入生の走は仕送りを使い果たして住むところがないため、ハイジは自分の住むボロアパートに来ないかと誘う。

走が入室して全室が埋まり、ハイジは唐突にアパートに住む同じ大学の学生たち全員で箱根駅伝を目指そうと言い出す。 走とハイジ以外は走る経験はないもののそのほとんどが運動部出身で、箱根を目指す奇跡の物語が幕を開けることになる。青年たちは、ハイジの指導により見事予選を突破し、本番の日は各自様々な思いを抱いて襷を渡していく。みんなの夢をつないで。

お正月に箱根駅伝なんてきちんと見たことがないけれど、あの日のために毎日毎日ひたすら走ってきた若者の姿をできればいつか沿道で応援したいと思った。

願う夢は、きっと叶うのだ。



『風が強く吹いている』
三浦 しをん
( 新潮社、907円)
 
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