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メトロニュース
2013.6/7発行 No.217  
特集 版元さんリレーエッセイ ぶくぶくコラム ステンドグラス

ぶくぶくコラム
「本を読む」福岡市 丸田利一 様

母と同居を始めたため、今までのように気軽には旅行に行けなくなりました。身近に母の様子がわかるので安心できる反面、ちょっと不自由になってしまいました。
そんな時、重松清の『きみ去りしのち』(文春文庫、660円)を手にしたおかげで、旅に触れることができました。北海道から沖縄まで、主人公と一緒に旅行した気分になれました。阿蘇の草千里や島原には行ったことがあり、鳴き砂は同じ山陰の鳥取だったか兵庫だったかの海岸を、学生時代に歩いたことがありました。 懐かしい土地の描写が思い出を呼んで、行ったことのない場所の風景も人物も目の前で見ている気がします。
そして、これはただ旅だけの本ではありません。読むたびに新しい発見があり、感動があります。
東日本大震災から二年。個人的には弟の心筋梗塞による急逝から二年。私も弟に最後に会った時、彼は全裸でした。病院で検視を終えて手術台に横たわっていました。
喪失感との折り合いのつけ方。忘れるのでも、乗り越えるのでもない、悲しい記憶との折り合いのつけ方。それはひとりひとりが、自分なりに、時の流れを借りて薄めることであり、慣れることだと教えてくれます。
私はいつも、何かにすがるような気持ちで本を読みます。作者が書かずにはいられなかったこと、伝えたかったことらしいことを掴めたきがした時、ほっとします。
そういえば、「小説とは阿弥陀様を言葉で作るようなもの」と書いた作家がいました。
さて、阿蘇への旅で主人公も食べた熊本名物、春雨スープのタイピーエン(太平燕)は本当にオススメです。私は熊本出身ですが、長崎の皆さんにもきっと気に入っていただけると思います。もちろん、長崎のちゃんぽんや島原の具雑煮もおいしいことは言うまでもありません。



 
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