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2009.12/5発行 No.186  
特集 版元さんリレーエッセイ ぶくぶくコラム ステンドグラス

ぶくぶくコラム

『 長崎県長崎市 K・H様 』

近頃の文庫本はすばらしい。紙質は白くなめらかだし、活字は十分に大きく、行間もゆとりがあり、これ以上の贅沢は不要、と言いたくなるほど。同じ内容なら単行本より文庫で読むほうが読みごこちがいい。片手に持って読むにも軽いし、頁を押さえなくても跳ね返らないし、取扱いが簡便だ。
  ひとつだけ困るのは今まで買いためた古い文庫本が色あせて手が出ないことだ。古いのは仕方がないとして読みにくさはどうしようもない。
  星一つがいくらの時代(※)の岩波文庫は、安い価格で天下の古典を提供しようという方針だから、可能な限りの小さな活字で行間はせまい。一頁にぎっしりと文字がつまってお買い得にできていて読む快適さは二の次だった。昔はそれでだれも苦情を言わず、むしろ安く古今の名作が読めるという満足があった。

(※)昔の岩波文庫には帯や背表紙に星が付いており、その数によって値段が決まっていた。昭和48年ごろで黒星一つ50円、白星一つ100円とされていた。(編集者調べ)

  それが書棚に多数ある。同じものを書店でみると現行版の読みやすさ快適さは一目瞭然だ。劣化した視力には活字の大小は致命的だし行間のゆとりも敬遠要素になる。なにより古色蒼然とした頁は純白の紙質に慣れると拒否反応を起こす。再読には新版でないと身体能力が追いつかない。今日の上質の文庫本を知らず、小さな活字がぎっしりつまった印刷物で、漢字が多用された翻訳物を読んでいた先輩たちの視力、努力、忍耐には脱帽するばかりだ。
  現行の文庫本しか知らない若い人たちは、そんな読みにくい本が市販されていた事実も知らないだろうが、そんなものは売れないと考えるだろう。なのに昔の人のほうがよく読んだという現実。平成の日本には、暇つぶしのネタが本以外にいっぱいあるということか。それとも本にかぎらず、楽に手に入るものに人は努力しなくなるのか。出版界もオペックを見習って、供給量を増減する営業政策を使ってみてはどうだろう。 品薄で手に入らないとなれば本ももっと売れるかもしれない。

 
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