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2009.7/5発行 No.181  
特集 版元さんリレーエッセイ ステンドグラス

ぶくぶくコラム
『骸骨ビルの庭』
  戦争を知らない世代が還暦を迎え、戦後はますます遠くなってしまった。
今も世界中で争いの絶えない地域があり、毎日のようにその犠牲となった人たちの数を目にするが、我々とは全く無関係だと思う人がほとんどだと思う。
  60数年間戦争に関与してこなかった日本は、平和ボケになったと言われているが、戦中戦後を生き抜いてきた人たちの想像も出来ない経験や苦労を伝えて、平和な時代がこのままずっと続くようにしていくのが我々の義務であり使命なのではないだろうか。
  宮本輝さんの新刊「骸骨ビルの庭」は戦後の生まれだとはいえ、戦争の話や、戦後の混乱のことを、子供ながらに心に刻んできた団塊の世代だからこそ描ける物語ではないかと思う。
  主人公がそのビルに住む人々の話を聞き出す形式で成り立つこの物語は大阪の十三(じゅうそう)という、いかにもこのビルがあったかのような場面設定でリアリティがあり、大阪人の人情がかもしだされている。
  私の父も生前、当時の連隊の部下が訪ねてくると、決まって戦時中の話になった。 大正7年うまれの父は「大正生まれの人たちが一番沢山戦死したんや。おとうちゃんが生きてたから今のお前らがいるんや」というのが口癖だった。
  若い人たちがせめて小説の中だけでも戦後の混乱や悲しみを擬似体験してくれたらと願っている。

『骸骨ビルの庭』(上・下)
(宮本輝、講談社、 各1575円)

住人たちを立ち退かせるため、八木沢省三郎は管理人として骸骨ビルに着任する。しかし、そこは戦後二人の青年が子供たちを育てた場所だった。 食料にも事欠き、庭で野菜を作りながら、彼らは命を賭して子供たちと生きた。
成人してもなおビルに住み続けるかつての子供たちと、老いた育ての親、それぞれの人生の軌跡と断ち切れぬ絆が八木沢の心を動かす。
すべての日本人が忘れられない記憶。現代人が失った純粋な生き方が、今、鮮やかに甦る。


専務取締役 川崎 紀子

 
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