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メトロニュースバックナンバー2008
2008.9/5発行 No.171  
特集  ぶくぶくコラム  版元さんリレーエッセイ

ぶくぶくコラム
「長崎市 M様」
『偽善エコロジー〜「環境生活」が地球を破壊する〜』
(幻冬舎新書、武田邦彦、777円)

 京都議定書が話題になって以来、「地球温暖化」問題は、あたかも人類の焦眉の急となった感がある。そこにもってきて、例のアル・ゴア氏の本『不都合な真実』(映画化も)がベストセラーになったり、ましてや、耳目を襲ってくるものだから、いよいよもって、温暖化問題は全人類的な規模の緊急課題となってきたようだ。
 しかし、このようなマスコミ受けする話題については、私は常々慎重の上にも慎重を期す必要があると思っている。つまりは、情報に振り回されるなということ。信頼に足る情報、科学的に信用できる見解はどれか、それをよく見極めて識者の意見をくみ取らなければ、安易に人の尻馬に乗ってしまうということにもなりかねないからだ。
 本書の著者武田邦彦氏は、資源材料工学を専門とする学究であり、これまでにも環境問題について真摯な提言を公にしてきている。全体の文体を見ればわかるが、本著は時代の流行に楯突く際物めいた類の著ではない冷静になり、事の真実相を客観的なデータにもとづいて議論すべきことを、武田氏は落ち着いた口調で語っている。
 目次がおもしろい。
■検証一・レジ袋を使わない⇒[判定]ただのエゴ
■検証六・温暖化はCO2削減努力で防げる⇒[判定]防げない
■検証八・温暖化で世界は水浸しになる⇒[判定]ならない」
 …レジ袋を追放するとかえって石油の消費量が増える結果となる。また、温暖化による危機的事態の象徴的な映像、「島国ツバル」が海面上昇により沈没するというあれ。ハワイ大学の調査によれば海水面の上昇は5cm。「第2次世界大戦当時、米軍が来て急ごしらえで造った飛行場をブルドーザーで整地した」箇所が地盤沈下を起こしているとのこと。大阪などの大都市でも、この100年に3mも海水面が上がっている。ツバルの映像を見て、いまにも地球沈没に…と思ってしまうのは、あるいはそのように報道したがるマスコミ人たちは、粗忽長屋の住人か?
 さらに、次の指摘には納得。北極の氷が解けると海水面が上がる、という例の不安…これも、アルキメデスの原理によれば、氷の部分はとけても全体の海水の体積は変わらないわけで、水面は変わらない、と。南極にいたっては、温暖化で上昇した水蒸気が南極の中心部の寒気によって雪を降らせる結果、むしろ氷が増えることになる。国連のIPCCの報告でも「気温が温暖化すると、南極の氷が増える」と指摘しているとのこと。
  どうだろうか?エコロジストの良心(?)を逆なでするような指摘ばかりである。しかし、ともするとわたしたちは、地球規模の問題を冷静に客観的に熟慮することなく、身の回りの次元に短絡して引き込み、その結果、涙ぐましく無益な努力をするにいたることが多いのではないだろうか。
 エコロジー、この時代の合い言葉となった感のある言葉、其の実態を考え直すのに最適の好著である。

 
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