2007年8月5日号・第158号 news@metrobooks.co.jp(←投稿はこちらへ)

古典のススメ! 〜名作は色褪せない〜


 今年の上半期、「ケータイ小説」のブームは印象的でした。参入する出版社も増え、ひと月の刊行点数も一気に増加しました。我が家では洗濯物、仕事場ではケータイ小説、知らない間に増えていく二大巨頭でございます。
  さて、その一方で静かに地味に、でも確実にブームとして広がっているものが他にもあります。「古典」です。いろんな過去の名作が新しい訳で蘇っているのです。ただ残念なのが、「若者はケータイ小説」という構図がなんとなくですが、存在すること。若者にだって古典を愛でる気持ちはちゃんとあります。時代を超え誰もが楽しめるもの、それが古典ではないでしょうか? そこで今月は名作古典を紹介したいと思います。この夏、外で遊びつかれたときには古典を手にしてみるのもいかがでしょうか?

「ロング・グッドバイ』」(レイモンド・チャンドラー・村上春樹/訳、早川書房、2000円)





 今年の上半期、村上春樹がチャンドラーを訳したことを見逃すことができません。ハードボイルドの枠にとどまらずアメリカ文学として重要な位置にあるチャンドラーを村上訳で読めるのは、日本人だけの贅沢です。
「光文社古典新訳文庫」(光文社)





◎『カラマーゾフの兄弟 1〜5』(ドストエフスキー 亀山郁夫/訳、光文社、1巻760円、2巻820円、3巻880円、4巻1080円、5巻660円)
  昨年の秋から刊行され始めた「光文社古典新訳文庫」。
  魅力的なラインナップになっていますが、最大の目玉はやはり『カラマーゾフの兄弟』。説明不要の大文豪の大傑作が新訳で読みやすくなっています。今まで手が出なかった方はもちろん、旧訳を読まれた方もぜひどうぞ。
「日本の古典をよむシリーズ」(小学館)
『古事記』
(山口佳紀 神野志陸光[校訂・訳]、小学館)
(2008年1月末まで1575円)
『平家物語』
(市古貞次[校訂・訳]、小学館)
(2008年1月末まで1575円)
 さて、古典には全集モノもございます。ただ、箱入りで金額的になかなか手を出せない物がほとんどです。ところが、先月小学館から普通の書籍と同じ値段で読める全集、「日本の古典をよむ」シリーズが刊行されました。あらすじと現代語訳付き原文で、古典の授業中は夢の中だった私でもすらすら読めるように新たに編集されています。今回、小学館パブリッシング・サービス九州支社松本様からコメントを頂きました。知っているようで実は知らない日本の古典。このシリーズをきっかけに読んでみるのはいかがでしょうか?

 「天地創成以来の神話、歴史を記した『古事記』、藤原道長の逸話や宮中の権力争いを描いた『栄花物語』、軍記物語の傑作『平家物語』『太平記』、王朝文学の最高傑作『源氏物語』、人生の教えに満ちた『徒然草』など、代表的な34の古典を全20冊で取り上げます。「歴史小説を読むように古典文学をよむ」ことが出来る様に現代語訳を先に、原文を後に掲載しました。古典の原文の魅力をそのままに伝え、すらすら読めます。
  現代語訳は、厳正な直訳ですので作者の言葉や作品内容をストレートに伝えるだけでなく、現代語訳と原文を対比しながら読むことが出来ます。 また、団塊の世代の読者だけでなく女性の読者も多いのがこのシリーズの特徴です。

 現在店頭には、思わず手に取りたくなるきれいな装丁の『古事記』『平家物語』が並んでいることと思います。
  千数百年前から、読み継がれたベストセラーをお楽しみ下さい。」
 

  「イタリアの作家イタロ・カルヴィーノは『なぜ古典を読むのか』(みすず書房)の中で、 古典の定義を十四項目挙げています。

「古典とは、最初に 読んだときとおなじく、読み返すごとにそれを読むことが発見である書物である」

「古典とは、他の古典を読んでから読む本である。他の古典を何冊か読んだうえでその本を読むと、 たちまちそれが"古典"の系譜のどのあたりに位置する ものかが理解できる」

「古典とは、人から聞いたりそれについて読んだりして、知りつくしているつもりになっていても、 いざ自分で読んでみると、あたらしい、予期しなかった、それまでだれにも読まれたことのない作品に思える本である」

という言葉の正確さが、今、わたしの胸に響きます。」
『百年の誤読』(岡野 宏文・豊崎 由美、ぴあ、1680円)
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