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メトロ書店フレスタ千早店。いよいよオープン!
ミュージックマガジン 営業部工藤大様

皆さまはじめまして。私、ミュージック・マガジンという会社で営業をしています工藤と申します。

弊社に馴染みのない方も多いかと思いますが、音楽雑誌のコーナーでA 5 サイズのやつ(文芸誌や単行本等のサイズですね。音楽誌コーナーにおいては出色の小ささです!)を探していただければ弊社月刊誌『ミュージック・マガジン』と『レコード・コレクターズ』が見つかると思います。
折角見つけたのでしたら、ついでに買ってみるのもいいかもしれませんね!

では、音楽系の出版社らしく、音楽の使い方が気になる本をご紹介させていただきます。
まずは舞城王太郎の『煙か土か食い物』(講談社)。クライマックスで主人公の外科医奈津川四郎がティーン・アイドル・グループ、ハンソン97年のヒット曲「キラメキ☆mm m bop」を口ずさみます。
激烈に血みどろの事件現場となんのメッセージもない無邪気なポップスのコントラストが絶妙で、その厚みのなさ故に希望が見える素晴らしい選曲です。
一発屋で終わったハンソンの面々もこれを読んだら泣いて喜ぶ事でしょう。

松尾スズキ『クワイエットルームにようこそ』(文藝春秋)では昭和歌謡必殺の名曲、ザ・ピーナッツの「恋のフーガ」が出てきます。精神病院Kで患者達がサエちゃん(拒食症)の伴奏に合わせて歌うのですが、キモは前奏のティンパニー「ドコドコドン!」を活字化しているところです。「パヤ、パヤパヤ!」や「追いかけぇて、追いかけぇて」など活字的にキャッチーなフレーズ満載のこの曲にあって、しっかり「ドコドコドン!」を記しているのがなにより立派です。今年3月にお亡くなりになられた宮川泰(ひろし)先生もこれを読まれたら、編曲した甲斐があった、と喜ばれたことでしょう。

最後は古泉智浩の『チェリー・ボーイズ』(青林工藝社)で、地元で幅を利かす田舎ヤンキーのプーチンがハンマーを振り下ろしつつ歌う問答無用の大ヒット曲、ミーシャ「Everything」です。焦燥と不満と性欲を強引に曲解したとんでもなく中身のない恋愛感情に酔って、ハンマーで扉をブチ破る彼の薄っぺらさが「よぉエーブリーシ〜ン」という表記によく表されています。
この曲で200万枚を売り上げたミーシャさんは、さすがにこれを読んでも喜ばれる事はないかと思います。すみません、非常に偏ったチョイスになってしまいました。

そんなこんなで、7月に『めかくしプレイ』、8月には『嗚呼、名盤』という増刊が弊社から発売されました。内容の方は手に取って確認していただくとして、どちらも大変面白い本です! よろしくお願いします!

工藤様プロフィール
1978年山形生まれ、東京育ち。趣味はレコード漁り、飲酒、マンガ、ボウリング。
最近、おかずを一品減らす努力をしています。

*編集部より:工藤様ありがとうございました。来月はOP社M様の予定です。お楽しみに。

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