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2006年9月5日号・第147号 news@metrobooks.co.jp(←投稿はこちらへ)

「萌え」より、もっと切ないよ!
美穂ちゃんの♪「青春小説」
本店 児童書担当 森美穂

皆さんはどんな時に本を読みますか?芥川賞・直木賞等の受賞作品、ドラマや映画の原作本といった話題作、暇つぶしや恋愛気分に浸りたい時など、個々それぞれ何らかの理由で読まれていると思います。本を読む時って、主人公を自分に重ね合わせて読んでしまいませんか?自分が実際に体験していなくても、読むことで経験することができる、これが醍醐味だと思います。
今回私がご紹介するのは、過去の自分を振り返ることができる青春の作品ばかりです。

まず初めにご紹介するのは、「ハッピーノート」(草野たき、福音館書店、¥1470)。小学校6年生の女の子が主人公です。ついつい自分に嘘をついて友人の意見に合わせていた思春期の複雑な思いが描かれ、昔の自分と重なり合うことが多いことに気付きます。自分の気持ちを表に出すことはなかなか勇気がいりますが、嘘をつくことで結局は相手を傷つけてしまうんですよね。自分の気持ちに正直であることの大切さを改めて感じる作品です。
 
続いての作品は最近出たばかりの「温室デイズ」(瀬尾まいこ、角川書店、¥1365)。いつの時代も少し「外れて」いたことが原因でいじめが起きてしまいます。この作品は現代の学校生活を送る子どもたちのいじめる人、いじめられる人それぞれの思いを克明に描いています。中にはいじめに立ち向かう子もいますが、実際は学級崩壊を見て見ぬふりする人がほとんどです。複雑な環境の中で子供たちが何を思い、何を感じているのかぜひ年頃の子供を持つ親御さんにも読んで欲しい作品です。
 
さらにこの作品に似たもので、「ア・ハッピーファミリー」(黒野伸一、小学館、¥1365)があります。この本はいじめに加え、家族の絆が非常にあふれた作品で、家族とどう接するべきかを考えさせられます。普段は家族に対して、素直に気持ちが伝えられないことが多いですが、本当はそれぞれ家族のことを思っているんですね。主人公のミキの勇敢さにも心を打たれる作品です。
 
ちょっと暗い話ばかりになってしまったので、ここからはパッと明るく希望のある作品をご紹介します。「高橋尚子 夢はきっとかなう」(黒井克行、学習研究社、¥1260)です。個人的なことなのですが、高校時代陸上部に所属し、長距離を走っていました。走るのは好きで、今でも時間と体力さえあれば走りたくなります。陸上の長距離といえば、初のオリンピック女子マラソン金メダリストQちゃんこと高橋尚子選手。いつも笑顔で走っている姿が印象的ですが、その笑顔の裏は挫折や苦難の連続でした。しかし、そんな過酷な状況の中でもあきらめずに夢を追い続ける高橋尚子選手。その姿に圧倒され、自分もまた明日から頑張ろうという気持ちにさせてくれます。走り続ける限り、夢はかなうのです。
 
次に私が好きな作家である、村山由佳さんの本をご紹介します。まずは「おいしいコーヒーの入れ方シリーズ」(集英社文庫、現在「優しい秘密[」まで発売されています)。このお話は純粋な恋愛小説なんですが、自分が男の子になったような錯覚を起こしてしまうほど、主人公・勝利の切ない思いが鮮明に描かれています。すごく読みやすい作品で、男女問わず、恋愛の醍醐味を味わえる作品でもあります。私自身も続きが気になってしょうがありません。
 
続いて、今月映画が公開される「天使の卵」(集英社文庫、¥410)。この作品も純愛小説で、内容は主人公とある姉妹の三角関係を描いた平凡なストーリーなのですが、村山由佳さんの感性が活かされた描写が読み手をひきつけ、より一層共感と衝撃を与えてくれます。


最後に「すべての雲は銀の・・・」(講談社文庫、¥620、上・下)は失恋から立ち直っていく大学生の物語。信州の宿を舞台にしており、そこに住む登場人物それぞれが様々な事情を抱えながらも、一歩ずつ前進していく。そのゆったりとしたテンポや時折見せるお茶目な場面が魅力的な作品です。


村山由佳さんの作品が個人的に好きな理由は、やはりこの描写力で、情景が浮かびやすく、すごく読みやすい所にあります。あまり普段読書をしない方や恋愛小説が好きな方、村山由佳さんの作品オススメです!!ぜひ読んでみて下さい。