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パロル舎 W・H様

「ハリーポッターと謎のプリンス」が刊行された。ハリーポッターといえば社会現象を巻き起こすほどの人気で、誰もが知っている作品である。

発売初日。とある書店を訪れたときのこと。書店員の方たちは、おかしな帽子を被せられ、発売を待ちわびたお客さん相手に忙しそうに働いていた。しばらくして一人の書店員に話を聞くことができた。「お客様はみんな手にとって見ていましたし、買っていかれた方は皆さん喜んでましたよ。でも、わたしは別におもしろい作品であるとはあまり思わないんですよね。ファンタジーものに限っても、もっとおもしろいと思うものは他にもたくさんあるしね」
これだけ“待ちに待った”本であっても“誰しもが”というわけではなかったのである。

一般的に「よい本」と呼ばれるその定義とはどういったものなのだろうか。
内容がおもしろい、文章がうまい、絵がキレイ、装丁が美しい、夢がある…。評価の仕方はさまざまであるが、どれも漠然としていて、明確な答えというものはないに等しい。加えてその感じ方は、読者と版元、もっと言ってしまえば一人ひとり違うもので、とかく永遠に重なり合うことのない「ねじれの位置」にあることが多いものである。

しかし、この永遠に重なり合うことのない「ねじれの位置」が一人ひとりの間に存在するからこそ「よい本」というものが世に出されるのだ思う。誰に聞いても「この本いいよね」では、それ以上のものは生まれないだろうし、反対にダメ出しばかりでは、いつまでたっても読者のあいだに広がらず、あっという間に埋もれていってしまうだろう。

我われ版元はその賛否両論のなかで、どれだけの本を生み出すことができるのだろうか。願わくば、世代を超えて、できるだけ多くの読者の元へ届く「よい本」をつくり続けていきたいものである。



W・H様プロフィール1983年 東京生まれ
趣味:釣り・運動・過去の野球経験をいかし、昨年から草野球を始める。が、チームはいまだに勝ち星がない……。

小熊秀雄の名作『焼かれた魚』新装刊ほか、パロル舎の本好評発売中!




*編集部より:W・H様ありがとうございました。来月はS社S様の予定です。お楽しみに。

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