メトロニュースメニューへ
今月の特集へ 版元さんリレーエッセイ
ブクブクコラム ステンドグラス

メトロ書店専務 川崎紀子 
「節分祭」
 
 関西では奈良のお水取りが終わらないと春が来ないと言うが、節分が来るともうすぐそこまで春が来ているような気がする。
 実家では毎年父が豆を撒いた。一家の主としての恒例行事であった。家では豆の他に小銭やキャンディーなどがおひねりにしてあって、父が大きな声で「鬼は外!福は内!」と豆を撒くたびに、姉や弟たちと先を争って拾ったものだ。目的は豆ではなくてお菓子や小銭だった。一番すばしこい末の弟が沢山ゲットしたのは言うまでもない。拾った豆を歳の数だけ食べて豆まきは終わる。その当時は今のように巻き寿司を恵方をむいてかぶりつくなどという習慣はなかった。これは関西の海苔業者の発案だそうだ。今では全国のコンビニでも巻き寿司の予約のポスターを見ることが出来る。
 節分の夜は近所の天満宮へ古いお札や飾り物を持って行って焼いてもらう。お宮の境内は赤々と燃える大きな火の周りに人垣が出来ていて、舞台に天幕が張られ近所の人たちでごったがえしている。昨年はこどもたちのグループが「マツケンサンバ」を踊った。自分たちでキラキラをつけて真剣な顔をして踊っているのが微笑ましかった。豆を撒く年男や年女も顔見知りが多い。大きな神社とは違ってアットホームな所が大好きだ。豆撒きのあとは暖かいおしるこが振舞われ長蛇の列ができる。
 ちいさいこどもからお年寄りまで笑顔と笑い声があふれる冬の一夜である。


今月のTOPへ