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ブクブクコラム ステンドグラス
中央公論新社 Y・M様

 三月二十八日、二十九日と小社の新刊『逃亡くそたわけ』(絲山秋子)の販売のお願いにメトロ書店をはじめ、福岡、小倉、熊本の各市を著者の絲山さんと廻ってまいりました(ご協力有難うございました)。
 この本は、九州在住の大学生と、東京からきたサラリーマンが病院を抜け出して、北から南に逃亡旅行するという内容です。
 この出張中に私は九州のことを何も知らないことを改めて自覚しました。まず言葉。九州の言葉というと武田鉄也が話す博多弁を思い起こす単純な私ですが、とんでもない勘違いです。佐賀弁、筑後(ちっこ)弁、早良弁、北九州弁とあらゆる九州の言葉の応酬が小説のなかにはでてきますが、実際熊本から博多まで移動する途中、特急電車のタバコ部屋のお年寄りの会話は、「#$%&¥*@」としか聞こえませんでした。
聞けば福岡だけでも、少し場所を変えると大きく言葉が変わるとのこと。「ああ、しゃーしか」(面倒くさい?)。「しかぶったとね」(寝小便した?)。「おまえ、まんぐっとったろうが」(??誰か教えてください)などは本のなかの会話です。ある熊本の書店さんでは「ばってん荒川」という九州出身のコメディアンの言葉遣い話に花が咲きました。九州には変化に富んだ言葉が沢山残っています。
 
 土地の食べものも知らないことばかりです。この小説で活躍する熊本の「いきなり団子」を、福岡の小説好きの書店員さんから、お土産にいただいたので初めて食べることができました。懐かしい味です。福沢諭吉の出生地・中津には「諭吉定食」があるそうです。またその先の「冨貴寺」には「団子汁」というのがあるそうです。食べ歩き旅行ではないので、すべてを食べきれないまま泣く泣く九州をあとにしました。また、「ひよこ饅頭」は、東京では地元銘菓のように売られていますが、福岡のお菓子だったのですね。東京土産に買って帰えると周囲に不思議がられました。
福岡で飲んだ宮崎の芋焼酎「霧島」の「白」にはそのほかに、「黒」、そして「赤」というのがあるらしいですね。わたしは「白」しか見たことがありません。いずれにしても知れば知るほど言葉も食べ物もお酒も奥が深い九州。その奥行きにようやく私は気付き始めたのでした。お店にうかがったときは是非いろいろ教えてください。今期の研究テーマは「九州の酒」です。


 
編集部注:「しゃーしか」は面倒臭い。「しかぶった」は寝小便に限らず、漏らしたこと。「まんぐった」は何だ??博多店のスタッフに聞いたけど??
ちなみに、長崎弁で「まんぎった」はビックリした、だそうです。



Y・Mさまプロフィール
山口県生まれ。九州の担当は2年目になります。最近太りすぎて古い服がどんどんきつくなります。しばらくダイエットをして次の九州出張に備えます。





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