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ブクブクコラム ステンドグラス
このコーナーでは、お客様から寄せられた本に関するコラムをご紹介しています。
 メトロニュースの「版元さんリレーエッセイ」が楽しい。人様の仕事の苦労を楽しむとは失礼な話ではあるが、知らぬ世界の舞台裏の奮闘話は面白い。しかも出版ビジネスマンとはいえ、本そのものが好きな人が多いのには、さすがと感心させられる。一方、筆者の「プロフィール」欄で大都市居住者の通勤時間の長いことには同情する。かつて、京阪の中間に住み、大阪梅田の職場まで電車で通勤していた頃を思い出す。
 
 転勤当初は仕事より満員立ちづめの通勤に慣れるのが大変だった。電車に乗っている時間は特急だと25分だが、一駅逆方向に行くと、その駅始発の普通電車があり確実に座れることを発見し、往復で一時間余の時間が確保でき、何をするかと迷う。新聞を広げると隣に迷惑だし、イヤホンでの英会話テープも周囲の耳に邪魔、やはり文庫本が無難かと「徳川家康」から始めた。巻数の多い長編を電車の中だけで読み終えると、なんだか得をしたような気分になり、「平家物語」や「司馬遼太郎もの」のほとんどを通勤車内で読んだ。
 
 長編通読こそ電車書斎向きと自信もでき、多少骨っぽいものを、とその頃出た中公文庫の「日本の歴史」26巻に挑戦し、通勤時間活用術は日常的読書習慣へと成長した。
 「世界の歴史」16巻を制覇すると、通勤地獄は充実の時間に変身し、硬派の本などそれまでは関心もなかったのに、ようし読んでやろうという挑戦気分になり、岩波文庫の古典を片っ端から、という意欲もわいてきた。転勤で身につけた一番の財産は、この読書習慣の習得かもしれない。
 長崎へ戻り、通勤は歩いて行ける距離になり、読書時間は以前と比べるとかなり余裕ができたはずだが、読書成果はさほど上がらない。電車通勤じゃないとだめかと苦笑するばかり。読書習慣を身につけたいとお望みの方は、車をやめて満員電車が一番のおすすめ。

ブクブク・コラムでは読者の皆様からの投稿をお待ちしています。テーマは「本」に関することならば自由。字数は800字程度。採用された方には図書券¥1000をさしあげます。宛先はこのメールまで。news@metrobooks.co.jp ペンネームと題名もお忘れなく!
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