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ブクブクコラム ステンドグラス
このコーナーでは、お客様から寄せられた本に関するコラムをご紹介しています。
長崎市 F・K様  

 蔵書で床が抜ける、という笑話的な失敗談は、多くの作家や評論家のエッセイに出てくる。若いというか、新世代の作家にはない。おそらく木造家屋とマンション、という書斎のつくりの差によるものだろう。

 山田風太郎氏のエッセイで読んだと思うが、書斎の床があぶないから何とかして、と家人から言われていたが、めんどうなので放っておいた。しかし地震でもあれば書斎どころか家そのものがあぶないと脅され、一大決心でコンクリートの書斎を作った。少々の地震でもビクともしない作りで快適。こんなことなら早くすればよかった、と。
 
 このエッセイを読んで、自分の床は大丈夫かと気になりだした。蔵書というほどの本はないが地震が気になる重みはある。加えてCDが加重する。以来、本棚が一定以上の重さにならないように本を売ることにした。書斎の整理にはいい習慣となる。本棚以外に本を保有しないというルールを自分に課す。床に積み出すと本の増殖は早いようだ。
 
 山田風太郎氏は、快適で不安なしの書斎に満足していると、目があやしくなった。眼科に行くと、緑内障の心配があり視力がなくなる恐れもある、と脅かされる。冗談じゃないが蔵書の半分はまだ未読だ。視力がなくなるなんて思ったこともないから、死ぬまでにゆっくり読むつもりでいる。それからあわてだす。読めるうちにできるだけ読む、というにわか努力。しかし、万を数える蔵書の数に溜め息まじりの日々、と。
 
 これは他人ごとではない。手持ちの本で未読の本は多い。作家にならって、手持ち本「未読キャンペーン」を展開しなくてはならない。その結果、書店の景気が多少悪くなるかもしれないがやむを得ない。風太郎忍法に目つぶしをくらった結果だ。
 
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