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2004年7月5日号・第121号 news@metrobooks.co.jp(←投稿はこちらへ)

前厄3人女が語る(鈴木編集長・外商主任田中政美、実用書・水野二三子)
検証:誰が本当の悪女か?
悪女候補者

香取雅子:主婦、弁当店勤務、死体解体屋、『OUT』(上下)(桐野夏生、講談社文庫、¥700、¥650)

新海美冬:30代前半?詐欺師、宝石商妻他職業多数。『幻夜』(東野圭吾、集英社、¥1890)

金子芳恵:主婦、工場勤務、40代後半。『崩れる』(「崩れる」貫井徳郎、集英社文庫、¥560)

あたし:日本舞踊コンクール審査員。年齢不詳(30代?)『悪魔のような女』(結城信孝編、ハルキ文庫、¥\798、「妬み」小泉喜美子)


★注意!ネタバレの部分があります。まだこれから読もうと思う方は気をつけて下さい。

編集長(以下・編):今日は『OUT』から雅子、『幻夜』から美冬、『崩れる』から芳恵、『悪魔のような女』から、あたし、以上4名から誰が一番悪女かを選びたいと思います。
 コメンテーターは、メトロ書店の2大悪女、田中政美と水野二三子です。

水野:「やだなぁ、違いますヨッ!」
田中:「・ ・ ・ ・ ・ ・ (無言)。」
編 :「まず、先日惜しくもMWA賞を逃した『OUT』から。」
水野:「今、読み返してもやっぱり面白いですよね。」
田中:「痛快小説。胸のすくような話とはまさにこのこと。」
編 :「あのー、男性が読んだら怖い、という感想しかないようですが・ ・ ・ 。この主人公・雅子はどうですか?」
水野:「責任感が強くて、面倒見の良い女性ですよね。でも、ちょっと色気がない。」
田中:「確かに、この雅子は旦那ともうまく行っていないみたいだし、息子もひきこもってる。でも、こういう性格じゃ、浮いた話はそうそう出てこないんじゃない     かな?」
編 :「でも、そういうところが却って同性の人気を集める場合もあるんじゃないですか?体育会系女子部みたいな。」
田中:「あ、そうそう、私読んでいる間中、雅子の仲間になっている気分でしたもん。ヘマした奴は消せ!とか(笑)。」
水野:「私はずーっと、この雅子はメトロ本店のYさんだと思って読んでましたもん。」
一同大爆笑・ ・ ・ ・ ・ ・ 。
編 :「雅子は素晴らしいリーダーシップの能力があるという訳ですね。」
水野:「そうそうおまけに私欲がないところが潔い。」

編:「では『幻夜』の美冬はどうでしょう?」
田中:「この人はスゴイですよねぇ。私、雅也だけは裏切らないと思っていたら、ラストシーンにはびっくりしました。つまり、悪いだけでなく運もいい。」
水野:「私、こういう男ほしーい。何でも意のままに操れる男(笑)」
編 :「美冬は、目的のために手段を選ばないですよね。」
田中:「すごい努力家だと思う。泣いたり、弱みを見せたりというところがないもの。」
水野:「きっと意思が強いんだと思う。それに唯物論者だね。」
編 :「おまけにすごい美人です。ま、整形ではあるけど。でも、髪の毛もサラサラで美しいっていうのは先天的なのかも。」
水野:「最近の男はなよなよしてるから、こういう強い女性に惹かれるのでは?」
田中:「私は『幻夜』は映画化されるだろうなぁって思いながら読みました。」
編:「じゃ、美冬は誰に?」
田中:「うーん、美冬と同年代の女優は難しいなぁ。美人でしかも頭が良くなくちゃいけない。雰囲気で言うと、昔の黒木瞳かなぁ?」

編 :「では、次に『崩れる』/「崩れる」の芳恵はどうでしょう?」
田中:「貫井先生、女の心情が良くわかってる!」
編 :「私もそう思って、昨年のサイン会の時にお尋ねしたんです。『崩れるをお書きになったときは、結婚していらしたんですか?って。』」
田中:「ふんふん。」
編 :「そうしたら、最初の2、3篇を書いた頃は独身でしたって。つまり、この作品はまだ結婚していらっしゃらない頃の作品ですって。」
田中:「それはスゴイ!」
水野:「何たって、そうめん茹でてるっていうシチュエーションが実にいい!」
編 :「仕事でくたびれて帰ってきたのに、旦那と息子は働かずに家でゴロゴロしている。そうめん茹でるのは暑い。もうしんどい。ムカツクで、スパッと旦那と     息子を包丁で切ってしまう。」
田中:「私、主婦じゃないけど、きっと主婦になったら、この気持ち、もっと理解できると思う。」
編&水野:「うんうん!そうめん茹でてる間は皆気をつけた方がいい。」
編 :「日本の小説って、妻は夫や子供を愛するものだ、っていう前提で書かれているものが多いけど、この作品は見事に裏切ってくれますね。」
水野:「でも、私、こんなしょうもない男たちのために刑務所に入りたくない。馬鹿ですよ、この芳恵は。私だったらこんな人たちとはさっさと別れるね。」

編 :「では、最後に『悪魔のような女』「妬み」の「あたし」はどうでしょう?」
田中:「私、この人共感できます。幼い頃からライバルにずーっと憎悪の炎を燃やしてきたわけでしょ。舞台は日本舞踊の世界という、私たちからはほど遠い    シチュエーションだけど、彼女の動機はわかりやすい。」
編 :「ラストは、結局は自分が審査員となって、ライバルの相手(舞踊家)を落とそうとしているわけでしょ。すごいよね、この執念。」
田中:「いかにも悪いヤツ。」
編 :「さて、それでは誰が一番悪女でしょうか?」
水野:「芳恵は後先考えずに行動しているので、これは半端な悪女だと思う。」
編 :「では、芳恵は却下。」
水野:「あとの3人は自分の意思を貫き通していますね。」
田中:「どれも悪女だ。」
編 :「でも、一番美人なのは美冬ね。」
水野:「一番お金持ちなのも美冬よ。」
田中:「おまけに不幸のかけらも感じさせない余裕がある。」

編 :「では、ぶっちぎりということで、
悪女は美冬に決定しましょうか!」
田中&水野:「おめでとうございます!パチパチ」



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