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今月の特集へ 版元さんリレーエッセイ
ステンドグラス
メトロ書店専務 川崎紀子 
 歴史の香り」

 活水のオランダ坂を上って右手の道をそのまま真っ直ぐ行くと、六棟の洋館群があり、その先の急な坂(これもオランダ坂)を降りると右手に孔子廟がある。普段はめったに通らない道だが、体調をくずして家人がお世話になっている病院へ行く近道なので、この2ヶ月近く毎日のように通ることになった。
 はじめの頃は濃い緑の葉で覆われていた欅(けやき)やそびえ立つメタセコイヤの木々も、この数日のうちに紅葉が進み、晩秋の木漏れ日が心をなごませてくれる。
 暖かなある日、病院からぶらぶら歩いて戻ってくるとベンチのある小さな三角公園があり、周辺地図も設置してあった。あたりを見回すと、公園の下には空き地があり、家の礎石らしきものが見受けられた。その昔そこにも洋館が建っていたのだろうか。どんな人が住んでいたのだろうかなどと勝手な想像をふくらませ静かなひとときを過ごした。
 活水の丘の周辺には、新たに開発された土地にはない歴史の香りが確かに感じられる。そしてそれこそが、長崎の持つ長崎らしい魅力なのだ。維持していくのは大変だが、景観や歴史の香りを壊さずに大切にして行かねばならないと思う。



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