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版元さんリレーエッセイ 母の日に贈りたい本

2003年5月5日号・第107号 news@metrobooks.co.jp(←投稿はこちらへ)

メトロ書店杯「プリズム」結末大賞決定!!

注:これから『プリズム』を読む予定の方で結末を知りたくない方は読まないで下さい。

「プリズム」(貫井徳郎、創元推理文庫、¥670)
 「慟哭」などでミステリファンを唸らせた作家・貫井徳郎氏の読者への挑戦状。
 幾重にも繰り返される仮説の構築と崩壊、一筋の光が屈折・分散し、到達するところには…。小学校の女性教師が殺された事件をめぐり、周囲の関係者が様々に視点を変えて謎に迫る究極の推理ゲーム。実はこのお話、結末は読者に委ねられています。
 そこで、メトロ書店ではこの「プリズム」の結末をお客様から募集いたしました。

@犯人は誰か?A殺害方法はどうやって?B動機は何か?

ご応募頂いた方の中から、最優秀賞と東京創元社賞を決定させて頂きました。
最優秀賞 

賞品:図書カード ¥5000分

長崎市 ペンネーム:ナカガワ様

@犯人はいない…ミツコ先生は、事故死である。ただし、事故死という偶然に向かって幾重もの必然が重なった結果ではあるが。

A殺人ではないため、殺害方法ではなく事故にいたる過程をのべる。
 睡眠薬の混入されたチョコレートを送ったのは南条先生だろう。バレンタインのお返しをしたことがない男が、なぜ今回だけわざわざチョコを送ったのか?納得できる答えとしては乱暴まではいかずとも身体にふれるなどといった行為が目的だったとしかおもえない。南条先生の思惑どおり、帰宅したミツコ先生は睡眠薬入りチョコを食べた。そこに現れたのが山名さん。医師を驚かすほどに聡明な子が、噂だけの段階で、いみじくも人の死亡を断言するのは、すでにその事実を知っていたからにほかならない。
 山名さんはミツコ先生にチョコを送りつけた南条先生の告発を迫った。その時点で教え子の父との不倫の話ももちだしたかもしれない。ミツコ先生は激しく動揺する。だって日記に書いていたように、楽だと感じていた5年生の教え子が、生徒の人気者だったはずの自分を脅迫するのだから。動揺?憤り?おもわず立ちあがったミツコ先生は、薬のせいで足元がふらつき、クローゼットにぶつかり、上から時計が直撃、死にいたる。頻繁に使うパソコンを使って警察に電話したのも山名さん。その後、たまたま窃盗犯が窓から侵入し、現場の状況となった。

B山名さんは南条先生をとにかく告発したかった。なぜならイタズラの被害者は彼女だったのではないか。村瀬さんが被害者だとすると、体育館脇での南条先生の糾弾など、怖くてついてこれるはずがない。村瀬さんはむしろ図書室の危機を救ってくれたほうだろう。
 また、糾弾の手段としてミツコ先生を使ったのは、彼女もまた、自分の幼馴染の家庭を壊そうとする身勝手な大人(女)だという認識があったため。ワープロを小宮山君の父に送ったのも、二人の関係を知っていたことを示唆する。子供は無力で無知と、たかをくくる大人への復讐と義憤が動機。

東京創元社賞

賞品:東京創元社オリジナルグッズ
長崎市 ペンネーム:ナンシー関取様
 

@睡眠薬チョコは、村瀬と山名が南条にあげたもの。死んだのは事故

Aチョコレートは村瀬と山名が南条に渡したものを、山浦(*ミツコ先生)に渡した。酔いとチョコの睡眠薬とでクローゼットにもたれかかった際アンティーク時計が運悪く、頭に当たって絶命した。ガラス切りで窓を開けて侵入したのは筒井。山浦と部屋で落ち合う約束をしていたものの、インターホンを鳴らしてもでない彼女を案じてガラス切りで部屋に入り、そこで山浦の死亡を確認。玄関から出てきたところを目撃された。チョコの包み紙は、山浦自身が外で捨てた。時計は本当にクローゼットにふらつく頭でもたれかかった際に落ちてきただけ。

B村瀬と山名がバレンタインに南条先生に睡眠薬いりチョコを渡した理由は、南条への告発のメッセージと実際に食べて業務に支障が出(眠り込んで授業ができなくなる)、職員室で問題となることへの期待。南条は、3月14日が日曜日であり職員室で渡せないのと、自分の存在のアピールのために14日に着くように宅配便を使ったにすぎない。配達伝票は、筒井が自宅に来ることが解っているので、他の男の名前のついたものを家においておくのはまずいと思って、山浦が大家の家から戻る途中で破いて外に捨てた。もしくは焼いた。筒井がガラス切りを使い家に侵入したのは、ただならぬものは感じたが、ここで大事になった場合、山浦との関係に問題が起きると判断したから。家の中に入ると既に蘇生の見込みのない山浦がいたので何もせず玄関から出た。そして次の日の朝合成音で通報した。



【総評】1つの作品から、幾通りもの事件の結果を考え出すことができる今回の試みは面白かったと思います。清純派でみんなの人気者だと思われていた被害者が実はそうでもないことが章を追うごとにわかり、個性的な脇役たちの演出も加わって、まさに「プリズム」のように作品が色々な角度からきらめいているのがわかります。また、今度は違った推理をしてみるのも面白いでしょう。ちなみに、ナンシー関取様は、バレンタインのお返しにチョコを送る男はまずいないとの点でBを考えついたそうです。本書を読みたくなったあなたはぜひお近くのメトロ書店までどうぞ。全店舗にて好評発売中。コンクールに関係なく、あなたの推理をおうかがいします。編集部までお送り下さい。

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