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版元さんリレーエッセイ 母の日に贈りたい本
『学び方を学ばせる
  イギリス式ゆとりの教育』(宮北恵子著、幻冬舎刊)


長崎市 K・M様

 ハリー・ポッターの映画が火付け役となって、わが娘(今春中学一年)のイギリス留学熱がやまない。ついつい、こちらも「イギリス関連本」に手が伸びる。曰く「イギリス式生活術」、曰く「イギリス式人生」(いずれも岩波新書)等々。
 
 本著『イギリス式ゆとりの教育』は、イギリス在住26年の著者の子育てにまつわるエッセイ。この手の本は、たいていがあちらを賛美し、こちらを卑下するパターンとなりがちだ。この本も、その例にもれないと言いたいところだが、そこまでの臭さはない。適度にバランス感覚が働いているところは好感が持てた。「子育て事情」「教育事情」はそれぞれのお国柄がどうしてもあって、比較文化の材料とはなっても、所詮、国民性や歴史風土の違いからくる相違点などはいかんともしがたい。例えば、本書にあるように、イギリス式に大学進学前の一年間を社会体験期間にするなど、日本のお家事情からは想像だにできない話だ。
 
 とはいえ、学校や大学が「つねに社会との繋がり」を持つかたちで実質的な仕組みとして存在している点は、やはり見習うべきところではないだろうか。日本の教育は、あまりに社会から隔絶されており、生徒・学生は「ガッコ(学校)の中の蛙」になっているからだ。
 
 イギリス的(西欧的)「個人主義」になれない日本人が、日本人としての国民性の良さを活かしていく形での教育のあり方が模索されなくてはならないと思うのだが、現実はなかなか希望がもてる状況ではないようだ。
 
 それにしても、著者夫婦(ともに日本人)のアイデンティティーにおける悩みにはあまりふれられていないのが気になったが…。


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