競技カルタの面白さ   長与町 風のフジ丸様

文学部の学生だった頃、遠くの街に住む人に手紙を出した。それに添えた歌は、「瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末にあはむとぞ思ふ」。この歌には、思い出がある。
 最近、競技かるたを始めた。そしてすぐにその魅力の虜となってしまった。歌を聴き、瞬時にどの歌かを特定し、どこにその札があるか(あるいはないか)を判断し(計五十枚の札の位置は暗記してある)、全身をダイナミックに運動させて札を払う。0,1秒の勝負。頭脳と身体能力、瞬発力。まさに畳の上の総合格闘技である。
 「ゲーム脳の恐怖」(森昭雄著・NHK出版)を読んだ。テレビゲーム好きの人がテレビゲームをやっているときの脳波を測定すると、痴呆の方の脳波と同じような状態を示す。それでも中毒のようにテレビゲームを続けていけば、人間らしさを司どる前頭野の機能が低下する「ゲーム脳」となり、正常な社会生活を営むことができなくなるおそれすらあるという。テレビゲーム好きの人には是非一読を勧める。そして他の、例えば競技かるたのような健全な(道徳的な意味においてではなく、科学的な意味においての)ゲームやスポーツなどをしてほしいと願う。また、小さい子どもさんをお持ちの親御さんにもお読み頂きたい。テレビゲームを買い与えることについての、何らかの参考になると思う。
 初めに述べた手紙の返事は、しばらくして届いた。それに添えてあった歌、「われにける末つひにあふまじ」。 
 ああ、無情。

「ゲーム脳の恐怖」
(森昭雄、NHK生活人新書、¥660)


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