万引きは犯罪です      メトロ書店 専務取締役 川崎紀子

 漫画本を6冊万引きし、逃げる途中で事故死した少年の事件が新聞やテレビで報道され波紋を呼んだ。店主は面と向かって「人殺し」となじられたり、抗議や嫌がらせの電話や手紙が殺到して一時は閉店を決めたが、応援してくれる人も多く又営業を始めることになったとか。「何も万引きくらいで110番通報しなくても」と思われた方は、この歳考えを改めてもらいたい。
 一昔前は本の万引きは、欲しいけれどお金の持ち合わせがなくてするものだった。読みたい本が決まっていて、目当ての1冊だけ盗るケースが多かった。捕まえた我々もまず親御さんに連絡をしたものだ。5年生の女の子を捕まえた時は家に電話をすると「うちにはそんな子はいません!」とガチャンと切られた。その子はわっと泣き出し仕方なく警察を呼んだ。警官は「又あんたね」と絶句した。その子は親の注意を引く為にわざと色々な所で万引きをしていたらしい。
 ところが最近の万引きは悪質である。本は他の業種と違い古本屋に持っていけば簡単にお金に換えられる。読むのが目的ではなく換金するのが目的で、手当たり次第何でも何冊でも盗むのだ。新刊や人気のある本は高く売れるので書店も盗られないように注意をして置いている。ある書店では万引き犯に刃物で刺されたり怪我を負わされ入院した店員もいる。今や万引き犯を捕まえるには身の危険が伴うのである。しかも昔から本の万引きを何となく容認するような風潮があって本くらい良いじゃないかと思っている人がいるのは困ったものだ。テレビで堂々と「僕も昔万引きしました。本屋のおじさんごめんなさい」と言ったあきれたタレントもいた。 
 万引きはれっきとした窃盗である。今、全国の書店には「万引きは警察に通報します」のポスターが貼ってあるが、そうせざるを得ないほどひどいのが現状である。家庭も学校も社会一丸となって万引き対策に取り組んで欲しい。(長崎新聞「うず潮」所載)

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