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版元さんリレーエッセイ
このコーナーでは、お客様から寄せられた本に関するコラムをご紹介しています。
「夢は…」  長与町 風のフジ丸様

「言ってきかせ、やってみせ、やらせてみせて、誉めてやらねば人は動かじ 。」
 山本五十六の言葉だと伝えられる。流石に、人の教育の最もシビアな機関たる軍隊の最高司令官の言葉である。人間の本質を見事に突いている。何の分野においても、指導者たるもの、心得ておくべき言葉だと言えよう。
 
 私はこの二十年ほど、スポーツや文化活動を10代の少年少女たちに指導してきた。私に指導者としての心掛けを教えてくれた人物や書物は多いが、その中の一つに、「勝つために何をすべきか」(松尾雄治・著、講談社文庫)がある。
 
 この本で私は特に、選手に夢を持たせること、希望を持たせることの大事さを学んだ。
 高校の野球部の監督が選手達に語る。「君らには夢が要る。夢は大きいほど、なしとげられるものも大きくなる。これからの人生で、何をなすにしても夢を持て。」選手の一人が言う。「監督はどうなんですか。口ではそう言っているけれど、やってることは違っているでしょう。」監督は当惑する。「監督、もし僕らが地区大会に優勝したら、メジャーリーグの入団テストを受けて下さい。」監督は思う。「彼らの闘志に火をつけるためにおとぎ話が必要だというなら、喜んでこの私がマッチをすろうじゃないか。」
 そしてこのおとぎ話は、実現してしまうのだ。一九九九年九月一八日、デビル・レイズは新人投手を登板させる。ジム・モリス、35歳で三人の子持ち、半年前まで高校の化学の教師だった。MLB最年長ルーキーの誕生である。「オールド・ルーキー」(ジム・モリス・著、文春文庫)、最近元気が出なくて、とお悩みのオジサンには、おすすめの作品である。


ベルサイユのばら」よ、 永遠なれ  福江市 臼井百合様

 30年近く前、長崎市に1人の少女がいた。中学1年生の時、友人の影響から軽い気持ちでNHKの舞台中継を見た。演目は宝塚の「ベルサイユのばら」。その日から少女の生活はオスカル様中心となった。乏しいお小遣いのほとんどをつぎ込んでマーガレットコミックスの原作を始めとした各種出版物や宝塚のLPレコードを買いまくり、暗記するほど読み、聴いた。もちろん、勉強は二の次で。

 時は流れ、かつての少女は人生の折り返し地点に立ち、この原稿を書いている。恋は幾たびか巡ってきたが、革命に身を投じる勇気はなかった。「フランス語を勉強していつかベルサイユに行く!」という決意も、大学で第2外国語を選択する時に「ドイツ語の方が単位取れやすいらしいよ」という評判に敢えなく挫折。当時のコレクションは実家に置いてある間に処分されてしまったらしく、唯一手元に持っていたマーガレットコミックスが残っていることだけが救いである。そうして今は3人の子持ちとなり、恋にも革命にも無縁な生活を送っている…はずであった。ところが少女の頃と同じように目をハートにして、携帯電話にオスカルさまのストラップを大事に付け、インターネットのファンサイトで意見を交わしている私がいる。

 昨年が連載開始30周年ということで、新たな出版物が次々と発行されたり、絶版本が復刻発売され、新聞には「再び静かなブーム」と取り上げられた。久しぶりに読み返してみると、少女の頃よりも30年分の人生経験を積んだ元少女は、より多くの視点から「ベルばら」を読むことができるようになり、その奥深さに改めて魅力を感じているのである。原作がコミックからコミック文庫へ、分厚い愛蔵版へ、コンビニ専用のリミックス版へと姿を変えながらも30年間売れ続けていることにも喜びと驚きを感じる。公立や学校の図書館にベルばらが置いてあることも珍しくなくなった。もはや単なる一過性のブームとは呼べない、1つの文化がここにある。
 それにしても、弱冠24才でこの作品を世に送り、その後も輝き続けていらっしゃる池田理代子先生に深く感謝したい。「ベルばら」に出会った私たちは、出会う前よりも遥かに多くの人生の喜びを味わえたのだから。
 
 この世に少女と元少女がある限り、読み継がれていくであろう「ベルサイユのばら」よ、永遠なれ。

メトロ川柳  長崎市 T・M様

身の丈に合った読書で日々気楽

足並みの揃う夫婦のいい読書

朝読書窓の雨音伴奏に

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