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版元さんリレーエッセイ
このコーナーでは、お客様から寄せられた本に関するコラムをご紹介しています。
長与町 エビカニクスで踊っちゃおう!様

『もうひとつの日本は可能だ』
(内橋克人、光文社、¥1400)
 
 我々は今、どこに立っているのか、我々の住む社会はどこに行こうとしているのか、そこに待っているものは何か、そこに行かないための別の道はいかにして可能になるのか。  
 
 国民の圧倒的な支持を受けて小泉内閣が誕生して2年余り。「構造改革なくして景気回復なし」とのスローガンは浸透したものの、その成果は如何だろう。年金カット、医療費負担増など、あらゆる意味での国民負担は増えた。まさに「痛み」だけは存分に味わわせてくれている。しかし、経済はいっこうに回復しない。規制緩和、構造改革、市場競争による活性化というシナリオとは逆に、デフレの進行、不良債権の増大、株価の半値下落など、マイナス要素のオンパレード。それでも内閣支持率は50%前後というから、率直に言ってこの国の人々は何と寛大なのだろうと思ってしまう。
 
 イラク戦争の「大義」であった大量破壊兵器は、未だ発見されていない。米英軍による「大量破壊」のあとに出現したのは「復興ビジネス」。この巨大市場にアメリカのゼネコンその他の企業が大挙して進出している。一体、あの「戦争とも呼べない戦争」の真の目的は何か。それは、小泉内閣の方針と軌を一にしている。つまり、グローバリゼーション。多国籍企業の活動を全世界的に徹底的に自由化し、世界のあらゆる場所から冨を収奪していくシステム。規制緩和と言えば聞こえはいいが、要するにすべてを市場にゆだねればうまくいくとの幻想。そこでは競争は激化し、貧富の差は拡大し、最終的なたった一人の勝者がすべてを手にする。そこでの競争は、レース・トゥ・ザ・ボトム、どん底へ向けての競争とならざるをえない。小泉構造改革の必然の結果として、現在の大失業時代があるのである。
 
 このような行き方とは別の、「成長=人間生存の基盤をより強靱なものにする条件の前進、充実」、「会社は潰れても人間は潰れない社会」を、実例を挙げて力強く述べていく。
 
 内橋は、経済を、マネー資本主義の視点からでなく、人間の視点から描く。世にあまたの経済評論家はあれども、真に信頼するに足る、数少ない人物が、内橋である。その彼の、最新作がこれである。内容が、実に充実している。一読されたなら、読者は、新しいあるべき姿、希望にあふれる日本の未来を目にすることができるだろう。

 
 
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