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版元さんリレーエッセイ 編集後記

2003年4月5日号・第106号 news@metrobooks.co.jp(←投稿はこちらへ)

心を落ちつけるには…   メトロ書店 専務 川崎紀子

 世界中の人々が避けたいと願っていたイラク戦争がついに始まってしまった。弊社読書アドバイザー鈴木が3月14日にNBCラジオで紹介した「 イラクの小さな橋を渡って」(池澤夏樹、光文社、¥952)の本には愛くるしい子どもたちの写真が多数掲載されていたが、その子らの頭上に爆弾が落ちてくると思うとやりきない気持ちである。またこの戦争で失われる双方の多くの兵士たちの命。彼らはお国のために戦うと言う大義名分のために、個人の夢も希望も可能性も捨てて、生と死が背中合わせの戦場へおもむいたのだ。イラク人であれ、米国人、英国人であれ、前途有為の青年たちは死傷者○○名と、十把一からげの代名詞で処理されるのだ。
 
 息子や夫の無事な生還を切望している女たちの不安と悲しみはどこの国でも同じである。「君死にたまふことなかれ」と書いた与謝野晶子の心は万国共通だ。親は誰も人を殺せと教えてはいないのに戦場では殺さねばならない。その理不尽さと恐怖に打ち克つには、やはり女性では出来ないことだ。その場に身を置くことを考えただけでも卒倒しそうになる。
 
 このやりきれない気持ちをどうすればいいのか。それは読書だと思う。この戦争にまつわる本でもなんでもいい。読書は思考を深め心を落ち着かせてくれる大切なそして手軽な行為ではないだろうか。


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