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版元さんリレーエッセイ 編集後記

「書斎」 長崎市 K・F様 

 庶民一般の書斎は四畳半とか六畳だから、そこに机と本棚が同居となるとスペースは限られ、ベッドまでが同居すると、書棚など置けず、本は床に積んだり寝かせたりとなる。そして、時間が経つにつれ、本は増殖を続け、ある日突然、書斎の主は恐怖に襲われる。本の重みで床が抜けるのでは、という驚愕。床が沈む、二階だと天井が抜ける。いつドーンと来るかわからない。墜落の恐怖と同類。
 さらなる恐怖は夏の夜、どこからか白蟻が飛来し、本の周りを飛び回り、その数が増えてくると、ひょっとして、こいつら床下から?疑心は柱が食い荒らされる現場を想像する。
 さらなる脅しは実際に床が抜けた著名人の書庫新築のニュース、友人知人の体験談。
 書庫新築などできない現実が、本は一定量以上に増やさない、買ったらその重量だけ減らす、という鉄則を生み、本の増殖を防ぐ。
 小さな家、小さな書斎にも、それなりの良さがあるものだ。

「母校」                  
長崎市 矢の平マー老様

 地元紙にも連載小説を書いていた作家真保裕一さんや、芥川賞作家の乙川優三郎さんが出た高校が県立国府台高校。
千葉県市川市、江戸川をはさんで東京と隣接する高台にある。
 なにを隠そう、実は私も同じ高校を出ている。もっとも4期卒だから彼らの先輩にあたり、そして二人のファンであることは言うまでもない。
 実家が市川、思い出多い高校まで徒歩で約20分、6年間通学したものだ。といっても落第したわけじゃなく、市立市川中学校が高校に格上げされ、県立となり名も変わった。
 今でこそ校舎も整備され、屈指の進学校になっているが、
私が通っていた当時は兵営をそのまま教室としていた。解体された軍隊は確か「野戦重砲八連隊」(記憶がアイマイです)、隣接の和洋女子大も、千葉商科大学(ここを出たのが『亡国のイージス』を書いた福井晴敏さん)も今では立派な建物だが、こちらもかっては兵営だったのだ。
 過日、帰郷の折に母校を訪ねたが、私が通っていた当時の面影は全くなかった。授業をサボり昼寝した松林もなくなり、シゴかれた球場には夜間照明の設備があった。
 帰路、都との境にある江戸川縁りを歩く。この川で泳いだ少年時代の記憶が甦る。京成電鉄国府台駅近くには高層ビルが立ち並ぶが、汚れこそしているが川の流れだけは変わっていなかった。
 思い出のなかを吹く風は、いつもセピア色をしている。


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