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メトロ書店専務 川崎紀子 
 「幻の南蛮船」

 メトロ書店が長崎ビル(現ニュー長崎ホテル)の地階と博多駅地階にオープンしたのは昭和三十九年の春でした。その当時、ブックカバーに使用したのは「南蛮船」の柄で、カバーの表と裏に大きな船を一艘ずつ配してあり、裏側に二店舗の住所と電話番号を載せていました。船の上下には横線を二本ずつ引き、本のサイズに合わせて折るようになっていました。その後多様な本の大きさに対応出来るように船を小さくし、連続柄にして「book book book」と波をあらわす文字を入れました。ところがその際、今までとは違う船の絵柄にした為、創業当時の船の絵は使われなくなってしまいました。しかもその船の絵は「南蛮船」ではなく「唐人船」でした。
 私どもの本社ビルがあるのは出島町で、「くんち」の出し物は「オランダ船」です。傘鉾の上の飾りは「羅針盤と望遠鏡」です。その縁もあって私はずっと創業当時の船の絵で、もう一度ブックカバーを作りたいと思って家中の本を見て回りましたが、その頃のカバーをかけた本は1冊もありませんでした。こうなっては古くからのごひいきの方たちにお尋ねしてみようかと思い母に相談すると、一冊の古いファイルを出してきました。すると中から出てきたのは、まぎれもない懐かしい古ぼけたカバーでした。創業当時とりしきっていた母上様ならではの「思い出ファイル」。何でも捨てずに取っておく性分をこの時ほど素晴らしいと思ったことはありません。
 こうして古くて新しいカバーが出来あがりました。先月末頃から単行本(ハードカバー)のみに使用しておりますが、ゆくゆくは文庫サイズや新書サイズも作る予定です。
 長谷川集平さんがデザインして下さった音楽集団の図柄同様、皆さまに可愛がっていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。


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