ブクブク・コラム メトロニュースメニューへ
今月のTOPへ ブクブクコラム 本店スタッフ紹介
版元さんリレーエッセイ ステンドグラス 編集長の読書日記
私の本棚整理  宗像郡 みよ女 様

 
 2、3年前の事である。長年夢みていた家の建替えのチャンス到来、隣家の引越しで、期限つきながらその後を借りられる事になった。仮住まいの隣家に、次に新築に戻る、と二度の引越しにトラック屋の必要もなく、本当に好都合であった。
 
 まずは私自身でしなくてはならないのが不要品の選別である。中でも何十年間に集まった本の数は夥しいものだった。

  「古本買い取ります」の小父さんと廊下に選び出した本の山から最初に古い美術全集の30冊余り―これは恩師が生前に「生き形見」にと息子さんの車で運んで下さった物なので少々気が咎めたが、モノクロ印刷で、対象物の撮りかたも面白くなく、新しく出回っている同種の物とは比べ物にならない。

 全集物としては世界文学全集の20数冊。昔、文学少女気取りの頃、毎月の小遣いの中から1円ずつ払って揃えていたが、貸したままの欠本もあるし、装丁が表裏ともに黒地に濃い緑色の細かい唐草模様で、本文も2段組で読みづらく、何とも陰気臭かった。当時は「緋文字」や「レ・ミゼラブル」に、明日はテストだという日にさえ涙を流しながら読んだものだったが。
 
 小父さんと本の山を崩しながらひょいと気づいて、私は薄っぺらい和綴じの2冊を引っ込めた。目ざとく見つけた小父さんは「それ2冊で1万円でどうでしょう」と言う。どちらも亡夫の知人で右頁がU氏の文、左頁がS氏の版画、全頁が手漉きの和紙である。この二冊は諦めてもらったが、結局大きな段ボール四個にもなった古本は計1万円也。
 
 今、すっきりしたはずの新居の本棚は縦積み、平積みの本で、再び満杯状態である。おかしい事に残しておけばよかったと思う本が何冊かあって、古い出版本だからおそらく絶版であろうと独りで淋しい思いである。著者の名はうろ覚えだが本の題名と内容は思い出せるけど・・・。誰かの「山の音」というエッセイ集、「空」という名の幻想的な、いつも夢の中に生きているような女の子が主人公の「山梔」「三つの目を持つ男」を探してチベット辺りの奥地を旅する男の手記、「青い芥子の花」を探してヒマラヤをさ迷う旅の記録等々。
 
 
絶対に再び古本屋の小父さんを呼ぶ事はしない。
ブクブク・コラムでは読者の皆様からの投稿をお待ちしています。テーマは「本」に関することならば自由。字数は800字程度。採用された方には図書券をさしあげます。宛先はこのメールまで。news@metrobooks.co.jp ペンネームと題名もお忘れなく!
今月のTOPへ