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2001年5月5日号・第84号 news@metrobooks.co.jp(←原稿はこちらへ)

 「中学生人権作文コンテスト東京大会」(2000年) 東京都奨励賞・受賞作  
「おじさんに教えられたこと」 東京都東久留米市 M中学校一年(当時) G・H君
 ぼくは夏休みに貴重な体験をした。
 それは、車いすのおじさんと会ったことだった。
 
 ぼくは、お母さんといっしょにそのおじさんを長崎まで迎えに行くことになった。最初はいやだったけれど、おじさんに会ってみると、なぜかおじさんといっしょにいることがたのしくなってきた。
 
 最初に身体障害者の人権について思ったのは、ぼくがおじさんの車いすを押していると、ほかの人たちがじろじろと見てくる時のことだった。おじさんは何も言わなかったけれど、やっぱりいやな気持ちなんだと思った。飛行機に乗る時はおじさんがいたから一番最初に乗れた。降りるときは最後だった。大変だったのは、家の玄関から廊下を通って部屋に入ることだった。四十歳すぎのおじさんは、一人では歩けないほどの重い障害を持っていた。
 
 次の日はデパートで買い物をしてレストランで食事をすることになっていた。デパートに行って、おじさんはすごく喜んでいた。そのデパートはバリアフリーだからいいけれど、ほかのデパートもそうとは限らない。そのことでも人権について考えることになった。普段、デパートに行けないおじさんは、いっぱい服を買ったり、そのあとゲームコーナーで遊んだりした。普段、リハビリセンターでは、外に行ったり、遊んだりすることができないので、楽しんでいたと思った。
 
 車いすを押しているときは大変だった。エレベーターに乗る時や坂を下る時などは後ろ向きにならなきゃいけないし、ちょっと止まる時でもブレーキをかけなきゃいけない。おじさんはいつもそれを一人でやっていると思うと、すごいなと感心した。
 
 ゲームコーナーで遊んだあと、家に帰ってすぐレストランに行った。そこでおじさんは両手をうまく使えないため、ちょっときたなく食べているのをいやそうに見ている人がいたのがちょっと気になり、腹が立った。でも、おじさんは気にせず、おいしそうに食べていた。ぼくはそれを見て、えらいなと思った。
 
 3日目はディズニーランドに行くことになっていた。ぼくは、おじさんと行くのを楽しみにしていた。駅に着くと階段があった。その階段はリフトに車いすを乗せて運ぶはずだったが、途中でリフトがこわれてしまって、人の手で運ぶことになった。そのとき、近くにいる人は無視して通りすぎてしまった。ホームに降りる時もリフトを使った。
 
 電車に乗って、おじさんの車いすのブレーキが一つこわれていることに気がついた。一つこわれているだけでも電車の中でゆれるとあぶないので、ぼくたちで支えることにした。何とかディズニーランドに着いて、いろいろなもので遊んだが、その時もおじさんのすごさに感心させられた。
 
 みんなが並んで待っているのに、ぼくたちは並ばずに入ることができたのだ。乗り物に乗った時にもやっぱり並ばずに乗ることができた。その時に係の人たちが優しく手伝ってくれたので、いい人たちだなと思った。
 
 ディズニーランドで遊び終わったあと、ホテルへ行った。そのホテルで、ぼくの兄がおじさんを風呂に入れることになった。兄は「おじさんのことを細かった」と言っていた。おじさんは、食べたくても食べすぎると、腸の病気になるかもしれないので、あまり食べることができないのだ。次の日におじさんは帰ってしまった。
 
 ぼくはおじさんに「体が悪くても立派に生きていける」「不便だけれど楽しく生きていける」ということを教えられた気がした。

 

 先日、ホームドクターのS内科医院へ行った際、待合室のニュース(第27号)で上記の文に出会った。聞けば、筆者は院長の甥御さんだとか。
 子どもの日にちなんで、何か子供さんの文を載せたいと思っていたので、早速本人の許可を取り、転載させて頂いた。
 障害を持つ叔父さんとの交流を通して感じたことを、素直に生き生きと描写していて大変感心させられた。(紀)

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