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版元さんリレーエッセイ ステンドグラス
メトロ書店専務 川崎紀子 
 (4) 母の日によせて

 母の日になるとカーネーションの値が上がる。こどもには花束で買えないような値段になる。
 
 小学生の頃、学校で母の日にカーネーションを胸につけてもらった記憶がある。その時お母さんのいる子は赤いカーネーション、いない子は白いカーネーションをつけていた。白い花をつけていた子はしょんぼりしていた。その日まで、その子にも当然お母さんがいるもの、と思っていた私はかわいそうで胸が塞がれる思いだった。そして、なぜ大人はわざわざこんなひどいことをするのだろうと腹がたった。白い花の子は、お母さんがいないと淋しいだろう、大変だろう、誰がごはんを作ってくれるのだろう、とその日一日その子のことが気になった。 しかし次の日その子はいつもと同じ元気な悪ガキに戻っていたので、ほっとした。
 
 母の日を祝って日頃の感謝をする風習は戦後アメリカから入ってきたようだが、もともと日本には両親を敬い目上の者を敬う習慣が根付いていたのですんなり受け入れられたのではないだろうか。学徒動員で戦地に向かった若者たちの遺書を、海軍兵学校のあった江田島で見たことがあるが、そのほとんどが母への感謝といたわりだった。
 
 母の愛は無償の愛、見返りを求めない愛だ。また母の愛は盲目の愛とも言われる。子供のこととなったら目が見えなくなるのだ。子供に見返りを求めず、広い心で子供を見守り、善、悪を教え、はぐくみ、慈しみ・・・。
立派なお母さんになるのは大変だ。我が身を顧みても、穴があったら入りたくなる。この歳になってもまだ何かあると、姑に教えてもらっている。そしてなるべく長くこのまま子供でいたいと思っているのである。

「おかあさま、どうぞ長生きしてください。いつまでもお元気で。」


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