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2001年1月5日号・第80号 news@metrobooks.co.jp(←原稿はこちらへ)

新春初笑いSF
2101年メトロへの旅
 2101年1月5日、ピコは小鳥のさえずりで目を覚ました。だが実際は、朝が苦手な彼女のために、耳に装填してある覚醒神経刺激ピアスが作動しただけである。ピコは一つ伸びをして、スリーピングチェアから立ち上がった。
 
 さて、今日はどんな一日になるだろう。
 「ニュース!」ピコが呼ぶと、部屋の中ほどに半透明のスクリーンが現れ、今日のニュースをいくつか表示した。下の方に「メトロニュース1月号」という表示がある。そうだ、今日は5日だった。

 「メトロニュース」そう言うと、メトロニュースが現れた。ススキノ編集長の下らない編集後記にぐふふと笑うと、特集の「君は信じられるか?〜20世紀の書店はこんなに注文が遅かった」を斜め読みする。メトロニュースを閉じると、メトロ書店本店のインフォメーションからメッセージが入っているようだった。
 
 「HUMAN!」と唱える。すると、人間の店員が応対してくれるのだ。
 「おはようございます。メトロ書店インフォメーションのナカムラです。サトー・ピコ様のご注文の本が入荷しておりますが、今すぐご確認なさいますか?」
 「えぇ、お願い。」
 
 22世紀の今でも、注文の本は書店経由の方がお得である。なぜなら、出版社から直接本を購入する場合には「立ち読みモード」が使えないし、その他様々な特典を享受することができないからだ。それに、出版社や著者から直接購入できる本は年間○冊、と数が限定されている。これは、21世紀に日本の書店組合が「書店存続」をかけて作り上げた「BOOKSHOP法」のおかげである。
 
 さて、スクリーンに注文していたノンフィクションが現れた。今、ピコが密かに注目している作家である。「立ち読みモード」を選択する。今や汚染のために誰も近づかなくなった南極大陸に人間が勇敢にも探検に行く話である。新生物の監視をしているガメラ(監視用ロボット)が最近おかしな動きを見せているからだった。読みすすめていくうちに、「お客さん、立ち読みはやめて下さいよ!」というオバサンの声のアラームが鳴って、モードが切り替わった。メトロ書店はアラーム音をいくつか設定してあるが、ピコはこの150年前の日本の書店モードが好きだった。

 「いかがでございますか?」と店員。
 「面白そうね、頂くわ。」
 「ありがとうございます。ペーパーモードにいたしますか、デジタルモードにいたしますか?」
 「お気に入りの本になりそうだから、ペーパーにする わ。」
 「不燃紙版でよろしいですね。」
 「えぇ。」
 「では、今からそちらにお送りいたしましょうか?」
 「いえ、結構よ。たまにはお宅に伺うわ。」
 「では、ご来店をお待ちしております。」
 
 ピコは久しぶりにメトロ書店まで歩いて行くことにした。
 長崎駅前の70階建てのメトロビルには、10階分の書店フロアの他、メトロミステリー倶楽部の秘密サロンや、めとろおやこくらぶの読み聞かせフロア(ここは全フロアふかふかのクッションでできているらしい。)流通倉庫に印刷所、おまけに筆の遅い作家を軟禁するための特別室まであるらしい。最近、レトロブームで流行っているのは「漫画ホテル」。ホテルに泊まりながら、漫画読み放題という施設である。
 
 ピコはメトロ書店の玄関のカプセルに入ると、「インフォメーション」と唱えた。すると、3秒後には「インフォメーション」と書かれたアーチの前に到着していた。
そして…。

 
ってなことになれば、いいなぁ。ドラえもーん!

 21世紀がどんな世紀になるのか、見当もつきませんが、まずは最初の一年、よろしくお願いいたします。


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