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本店スタッフ紹介 ステンドグラス 編集長の読書日記
メトロ書店専務 川崎紀子 (1)
 会長が逝ってから丸4ヶ月が経った。私は嫁であるから義父と書くのが本当なのだが、そう書くと他人のようなので、敢えて父と書く。
 
 父は、私が嫁いで以来、人前で「嫁」という言葉を使わなかった。その昔、夫が不在で、皆で食事に出かけた際、店の人が「まぁ、娘さんやお孫さんと一緒で良かですね」と言われたが、父は「嫁ですよ」などと訂正せず、ニコニコしていた。私がそう言うと、「娘さんに間違われるなんて幸せなお嫁さんですヨ。でもよく似ておられる」と言われた。父はますますニコニコして、「似てるでしょ」などと言っていた。あとで夫に話すと、「それはお前がでしゃばって威張っているからだ」とひがんでいた。
 
 父は書店業に手を染めてからも色々なことをやりたがっていたが、二十数年前、お菓子を作ろうと言い出した。何か長崎らしい良い名前をということで「ステンドグラス」という名前に決定し、お菓子の商標登録を取った。どうやって作るのかと思っていたら、下請けに出してやるのだ、と言う。案外、安易な考えのある人だ、とびっくりした。
 
 お菓子はミニバウムクーヘンの中にアンコが入っているという、どこかの二番煎じのようだった。試作品を少し作ったが、結局やめにした。
 
 父亡きあとのコラムを引き継ぐのは恐れ多いが、その思い出の「ステンドグラス」という名を借り、天国の父の助けも借りて、何とか続けていけたらと思っている。


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