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2001年12月5日号・第90号 news@metrobooks.co.jp(←原稿はこちらへ)

香さんの映画に乾杯Part3
2001年私のお気に入り  長与町 香さん
 21世紀最初の年、「A.I.」「パール・ハーバー」「ジュラシック・パーク3」などCGを駆使した大作が封切られましたが、私の心に残ったのは「初恋の来た道」「小説家を見つけたら」などのシンプルな作品でした。
 
 結婚を機にそれまで母任せだった料理を自分が作る立場になって、母や料理教室の先生の励ましとレシピを頼りに、不器用な私なりに努力していたつもりでしたが、少し息切れして日々の献立がノルマをこなす感覚に陥っていました。そんな時、グットタイミングで出会ったのが「初恋の来た道」でした。
 
 それは少女と村に赴任してきた若い先生との一途な恋から始まる物語でした。好きな人に美味しいものを食べさせてあげたくて、想いを込めて包丁を握って材料を刻み、湯気の中で手際よくリズミカルに料理を仕上げていく少女。彼の好物を小鉢に下げて山道をひたすら走る姿に、料理の原点はこの気持ちだったのだと気づかされました。想いを遂げて一緒になってからも一生夫を尊敬し、その死後も夫が何を望んでいるかを思い、それを叶えてあげたいと願う心に胸が熱くなりました。この作品には夫婦の愛、親子の愛、師弟の愛、いろんな愛が詰っているようでした。一時間半弱の上映時間中本当に恥ずかしいくらい泣けて泣けて、一人で見に行って正解でした。

  「小説家を見つけたら」は人生において「師」と尊敬できる人との出会いが、若者の人生を、そして「師」である小説家の人生をも大きく変化させていくプロセスを、心地よく見せてくれました。すばらしい才能を持ちながらもそれを見出し導いてくれる人に出会えず、自分を持て余していた若者と、一度は栄光を手にしながらも傷つき、世捨て人の生活をしている初老の作家。ふたりが偶然出会い、本気でぶつかり合いながら少しずつ打ち解けて、やがて互いを認め合う間柄になっていく・・・・
見ていて清清しい気持ちになり、最後はジーンとして涙がこぼれました。
 
 生きている限り誰にも多かれ少なかれ人との出会いがあるはず。日々の忙しさにかまけて、また未知の人との関わりを億劫がって、やがて自分の宝となるかもしれない出会いを素通りしてしまっているかもしれません。一期一会を大切にしたいものです。
因みに、久々に素直に感動できた作品だったのに、後日美容室で見た女性週刊誌の「暗い、タイクツ、地味」との評を見てがっかりしましたが、感じ方は人それぞれですね。        
 ところで「フィールドオブドリームス」「恋愛小説家」「ワンダーボーイズ」そしてこの「小説家を見つけたら」と、小説家が登場する映画には秀作が多いようです。それぞれ個性的な作家たちが、どんな文体でどんな作品を書いたのでしょうか?その傑作をちょっと読んでみたい気がしませんか?
 
 その他、「リトル・ダンサー」「キャラバン」「ショコラ」「タイタンズを忘れない」、そして笑わせ、うなずかせ、ホッとさせてくれて、元気をくれた「ブリジット・ジョーンズの日記」(ヒュー・グラントのファンとしてはその軽薄なプレイボーイぶりがはまりすぎで複雑な気分でしたが・・・・)などがお気に入りです。

★香さんは、元・浜町店店長の香さんです。
 映画の原作本もメトロ書店には取り揃えております。来年はどんな映画に出会えるのでしょうか?

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