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版元さんリレーエッセイ ステンドグラス 編集長の読書日記

 その13 NHK出版 J・H様 
 

 皇居マラソン記

 出版健保では毎年秋の日曜日、皇居周回コースにおけるマラソン大会が催されている。今年は先日の10月21日。東京は曇りで暑くなく、マラソンには絶好。実況中継風に当日朝を振り返る。

 地下鉄の桜田門駅から地上に出ると、すぐにスタート地点の桜田門。歴史的には有名なところだが、あまり感慨にひたる余裕はない。5キロなんて走れんのかなぁ…。日頃の不摂生を思い、不安が先に立つ。実際われわれの会社では20歳台5人、30歳台3人がエントリーしていたが、来ていたのは4人だけ。やつら、逃げやがったななどと一瞬思うが、応援に来ていた女性1人を心の支えにスタート前の準備に入る。日頃、会社のYシャツ姿でも運動不足であることはばれているが、Tシャツ姿になると、もっとお腹あたりのたるみが目立ってしまう。これからは運動しなきゃな、と実感。

 そうこうしてるうちにスタート時間。いまさら、逃げるわけにもいかないので、覚悟を決める。まわりのやつは速そうだなぁ。こっちは完走を目指し、マイペースでいこう、などと考えていたら号砲。速いやつは速い。遅いやつは遅い。当たり前のことではあるが、出鼻から差は歴然としている。
 
 左手の二重橋を通り過ぎ、お堀沿いを50人くらいで駆け抜けている。外国人が珍しげな目で見ている。ディス イズ 日本文化、などと考えているんだろうか。さらに走って左折すると、右手に毎日新聞社、そして竹橋。ここから上り坂。結構つらい。左手の皇居は緑が多く、さわやかであるが、右手には高速道路。東京らしい風景。それにしても1キロほど上りが続く。これは正直、つらい。北の丸公園は花の季節は綺麗らしいが、今は、ホントにつらい。季節を楽しむ余裕がない。
 
 そして、お堀角をまた、左折。ここで上りは終わる。やや楽になり、少しマイペースを取り戻す。右手はなんだかよくわからないが、豪華な建物。おそらくはV・I・P向けの施設だろう。金色の門だ。外国童話に出てきそうだ、などと感じる余裕はややある。
 
 そして中間点を越えると、国立劇場、国会議事堂、最高裁判所を右手に仰げる下り坂。社会科見学コースみたいなプロムナードである。しかし、足がくたびれているので、下りは、実は結構つらい。コンクリートの衝撃が足腰に響く感じ。余力を残しとかなければだめだ、と今さらながら思う。少しは練習すればよかった。10年前はこんなんじゃなかったのになぁ、などと少しレトロな気分になる。しかし、こういう思考はすでにまったくオヤジのものである。
 
 やや踏ん張りながら走っていると、サスペンスドラマや刑事もので有名な警視庁が近づいてきて…、とイメージしていたのだが、それがなかなか近づかない。道が蛇行していて、目的地まで意外と距離がある上に、想像よりもスピードが落ちているため、建物がなかなか迫ってこないのである。ゴールが遠い、ああゴールが遠い、と頭の中はその気持ちでいっぱいだ。
 
 もう走れねえやと思っていたところで、やっと桜田門にさしかかる。やっとゴールだ、という喜びが満ち溢れる。顔の見知った取次さんの人がテープを持っている。少しだけスパートして、ゴールテープを切った。順位に関係なく、テープを切るというのはうれしいものだ。ちょっとの時間だけ、高橋尚子になった気分。

 というわけで、5キロを何とか先日完走したわけであるが、やはり、練習不足だったと思う。せっかく緑が多い所を走っているので、もう少し精神的余裕が欲しいところである。それにしても、応援の女性がくれたビールは本当においしかった。そんな至福の時を味わえたので、やはり走ってよかったな、と心からそう思ったのである。(了)

J・H様プロフィール
74年9月24日生、天秤座、AB型
趣味:映画、横浜ベイスターズ、お酒
特技:カラオケで笑いをとる。
好きな作家は 土屋隆夫(昭和中期の本格推理作家)
読むジャンルは哲学・思想系が多いかな?
(学生時代は一応、哲学専攻でした)




★J・H様ありがとうございました。次号はS社のK様の予定です。

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