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版元さんリレーエッセイ ステンドグラス 編集長の読書日記
神奈川県厚木市 H・I様 (松蔭女子大学教授)

 2001年10月11日、12日の両日、長崎市千歳町のチトセピアホールでフランス喜劇「性急者」が上演された。粗筋は、性急者(慌て者)の男性ダアモンが金貸しの娘ユリアと結婚しようと奮闘し、終にはめでたく結ばれるというものであるが、この喜劇、新作ではない。何と19世紀の長崎出島で上演された演目であり、ここでは日蘭学会編『長崎オランダ商館日記 九』(雄松堂出版、1998年)その他に基づき、当時の上演の模様を簡単に振り返ってみよう。
 
 「性急者」が出島オランダ商館で初演されたのは、1820年10月13日のことであった。この夜、庭園に雰囲気豊かに飾り立てられた舞台が設けられ、「芸術は長く、人生は短し」と書かれた幕が掲げられた。登場人物はすべて演劇愛好家の商館員や船員が務め、例えばダアモン役は新渡書記フィッセル、ユリア役は在留書記スミットが演じている。
 
 続いて「性急者」は10月20日に二人の長崎奉行、筒井和泉守政憲と間宮筑前守信興を招いて再演された。江戸へ戻る筒井の送別の宴も兼ねたこの上演は好評であったらしく、両奉行も「このようなことは見たことがない、彼ら自身(日本人)の見世物や中国人の見世物への自負が失われた」と絶賛している。(因みに、当時の出し物は「性急者」の他、オペレッタ「二人の漁師とミルク売り娘」、そして歌と踊りを混ぜたパントマイムであった。)
 
 さらには10月22日、前回見物できなかった奉行所役人や町年寄、唐通詞を招いて三度上演された。
 みなさんも一度『長崎オランダ商館日記』をお読みになり、江戸時代の出島に思いを馳せてみては如何でしょうか。

★伊東様、ありがとうございました。長崎に関する本は、メトロ書店本店入り口・出島マークの「長崎の本コーナー」にございます。皆様、ぜひお立ちより下さい。


 
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