ファン垂涎の 有栖川さんとの一夜(二次会)    
 0015サラ晴好きー(華美改名)
 

 講演会の後、ミセス真青が老人失踪未遂事件でご苦労なさっているのもツユ知らず、私は密かに彼と博多メトロで落ち合い某所へと向かったのでした。  

 その粋な京料理の店は細い路地を入った密会にもってこいの場所でした。しかし我々を先導する怪しい影が…。そこは、講演会の聞き役・剣持氏の行き付けの店でした。東京創元社の戸川社長、サインのお手伝いをされていた創元社の女性の計四名で楽しい宴がはじまりました。まずは乾杯となりましたが、有栖様はウーロン茶。昨年の原先生もそうでしたが、ミステリー作家はお酒を飲まないのかしらね。  話はのっけから終わったばかりの講演会の続きになり、剣持さんが有栖川さんに色んな質問を投げかけていましたが、そのほとんどがミステリー小説の品定めで、冷酒ぐびぐびの剣持氏がウーロン茶なめなめタバコスパスパの有栖川さんに熱っぽく語りかけ、有栖川さんは、あのホンワカしたムードで「そうやねー」とか「うんうん」などと答えておられました。
 ひとしきりそんな会話ばかりが続き 存在を忘れ去られたような私は、黙々とおいしい料理をたいらげていました。

 しかし話題が剣持氏の本職「弁護士」の話になり、弁護士や検事、判事などでミステリー作家が他にはいないのではとか、テレビの法廷物や判決などは本職からみるとおかしいとか、事件の渦中の人だけが話せる興味深い話になりました。中でも圧巻だったのが、暴力団員の殺人罪の弁護で無期懲役にもちこんだ話でした。殺しの指令を出した人に死刑の判決が出たそうで、「あっちは死刑、こっちは無期ですからねー」と剣持さんが怖い顔で言った途端、有栖川さんはプーっと吹き出して「こんな凄い会話、日常生活では絶対ないですよねー」。一同大爆笑でした。

 次に有栖川さんへ話題が移り私は皆さんの代表として一言一句聞き漏らしてはならぬ、と意気込んでいたのですが、おかしい話ばかりで死ぬほど笑ってしまいました。関西人の乗りか天性の乗りか、有栖川さんの話は何時間でも聞いていたくなりました。  大阪府警から執筆依頼がきた話や、その広報誌の内容を面白おかしくしてくださり、広報執筆中に大阪府警に招待されて万博跡地で、府下の白バイパレードや覆面パトカーパレード、もちろんお巡りさんや婦警さんのパレードをみせてもらった話。それまで威張っていた偉そうな人が、本部長が来るなりペコペコしだした話などまるで映画の「ポリスアカデミー」シリーズのようでした。普段見たこともないような色々なパレードの最後に突然パラパラパラパラとヘリコプターの一団が森の向こうから現れて来た時は、「一瞬、ゴジラでも現れたんかと思いましたデー」とのたまった時は、もうダメ、お腹の皮がよじれるほど笑ってしまいました。

 後で考えると心やさしい気にしいの関西人の有栖川さんが、ミステリーの話についていけない私を気遣ってくださったのではと感謝しています。


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