「ハンニバル」読後バトル


「ハンニバル」(上下)トマス・ハリス、新潮文庫を読んだ感想文です。
7月例会の討論会の前にそれぞれ提出してもらったものです。

(順不同)

探筆巣(タペンス)  正直いって、このジャンルは大変苦手なので、読み出すまでにかなりの時間を要しました。
とはいえ、「羊たちの沈黙」も「レッドドラゴン」も読んだし、映画も見てます。まっ、今回はまだ映像化していないので、描写が想像の域を出ないで済むので、読みはじめたら、案外、楽でしたが・・・。
 
 で、肝心の感想はというと、賛否両論あると思いますが、私は、あのラストは嫌いです。クラリスがあっちの世界に行ってしまったら、誰がレクタ−を止めると言うのでしょうか?いくら死にかけて、体の大半の血?(あるいは体液か?)が入替って、人格が変った(らしい)とはいえ、(薬のせいもあり?)あれはねぇ・・・。ジョディ−・フォスタ−が出演を取りやめたのもその辺に原因があるんだろうなぁ、やっぱり!!
 
 あれでレクタ−が大人しくなるとは、とうてい思えないし、クラリスも、もし正気に戻ったとしても、食してしまった今、元通りにはならないだろうし・・・。レクタ−が危険に陥った時、確かに「クラリス、早く来てぇ−」と思ったのは事実ですが、それは、あくまでも、クラリスに正義の鉄槌を下してもらうため。あ−なるとは、とても予測出来ませんでした。
 
 森博嗣氏は、HPで「型通りの正義」を回避したハリスはやはり鋭いと書かれておられましたが、その件に関しては、どうしても同調できないなぁ−。次作がもしあるとしたら、クラリスの同室のア−ディリアが主人公にでもなって、二人と戦うのかな?でも、あの二人を追いつめられるような凄腕は、出てこないような気もするけど・・・。

 全然違う作品ですが、「リング」のあとに、「らせん」を読んだ時の気分です。「それじゃあ、前作はど−なる」、というような。「何だよそれっ」て感じでしたね。  確かに読み応えはあったけど、やり過ぎ、悪乗りのしすぎ。決着は持ち越しの消化不良。(この表現も当たりすぎで不気味)ど−も、私にはいけてない作品でした。青木淳子にATFにでも入ってもらって、ル−シ−と二人で、燃やしてもらおうかな(笑)作品の混同のし過ぎですかね・・・。
 
 全く、まとまりのない文章ですが、再び森博嗣先生にご登場を願って、しめさせていただきます。(HPより引用)「レクタ−は作品中、パソコンを使っていましたが、あれはやっぱりパワ−ブックだったのでしょうか?」「その心は…。クラリスと相性が良い!」
おあとがよろしいようで。
ヤムヤム  ん〜、例えれば、キューブリックの「アイズ・ワイド・シャット」を観た時とチョい似てるかな?
 ハリスがもっと早くこれを書いてたら、こんなハ−レークィーンみたいな結末にはしなかったでしょ。
 ジョディフォスターが映画出演を蹴ったわけがなんとなくわかる。クラリスを愛してればなおさらイヤなんじゃないかな。
 ただ、文章自体は非常におもしろいと思う。訳者がいいのね、きっと。

スノーウィ すみませんね、私的には「×」でしたよ。
「羊」ほどのインパクトもなかったし、グロテスクなだけでした。

だぶだぶの半ずぼん
 当会々員<だぶだぶの半ずぼん>は『ハンニバル』を読破後、そのあまりの”笑激”ぶりに腹の皮はよじれ、ひきつり、2年前に恋仇から受けた腰の太刀傷がいまさらのごとく痛みだし、打ちのめされて床に伏しています。
 立ち直りにはしばらくかかるかと思われますので、優しき慰めのお言葉や、心からなるお見舞いの品々は下記までお届けくださいますようお願い申し上げます。
  タウン情報誌『ザ・ながさき』内<クラリス・スターリング・クラブ>唯ひとりの会員だぶだぶの半ずぼん
MOON  やっと読みました!「ハンニバル」。(遅すぎる)
なんか、壮絶だったんですけど美学があるっていうか・・。美しさと残虐さが同居してて、読んででとっても不思議な感覚に囚われました。
迷路の中を歩いてるようなカンジっていうか・・・。魅入られていました。
 ラストには唖然としましたが、なんか納得いきましたね。
 でも、読み終わって、結局私にはクラリスとレクター博士の魂の救済の為の話だったような気がします。それと、ラブ・ストーリーとでもいいましょうか・・・。
てっぺい 「俺の金を返せ!」と言った人の気持ちがよく分かる。 ここまで引っ張っておきながら、この結末はあんまりじゃないか! 別にあのハ−レクイン的ラブラブな幕切れを悪いとは言わないが、読者が納得できる展開がほしかった。

 あのままレクターと共にいるというのならば、羊たちの沈黙におけるクラリスはいったいなんだったのか?
レクター博士が、妹を殺され食われた事実より逃避(と私は解釈した)するために殺人・カニバリズムを続けるようにクラリスも羊の悲鳴を止めんがためにFBIに入ったのではなかったのか。

 年のうちに、彼女にとってFBIが正義の場でなくなったにしろ、それがレクター博士を受け入れる理由にはならない。

 長年心に隠し持っていた父親への不満が解消されたことによって、今まで一度も表に出たことのないクラリスが現れた、という見方もできそうだが、それならそうでクラリスのその後の心境変化が一言ほしかった。
最終章まで気分良くページをめくっていたのにそれだけが残念だった。
リンウッド  レクター博士のセンスの良さ(特に香水関係のね)、優雅な生活に、「この人、本当に殺人鬼?」という気がしましたが、ナイフさばきの素晴らしさなどには背筋が寒くなりました。ところどころ、笑える箇所(飛行機の中の話とか)もあったけど、ミーシャ(妹)が出てきた時点で、イヤーな予感がしていました。ひょっとして、ひょっとしたらこうなるの…?という予測は半分当たっていたわけで…。
 問題のラストは私はあれ以外にはありえないのではないか…と、つまり、当たり前のラストでは面白くなさすぎる。あれは、つまり、「続きがあるんだよーん」っていうことでしょ?そうよね?そうでなくっちゃ!そう願うからこそ、あのラストを認めているのよ。ま、まさかあれで終わり…?そして続編は…8年後!?
四時五分 1、作中「こいつきっと殺されるな」と思うキャラクターは、間違いなく殺されます。
2、「私」的に、ラストはなんか羨ましくてOKです。
3、途中でどんなに酷い情景があっても、だんだん頭が麻痺してきて「酷い」と感じなくなってきます。
4、そうでないと読み進めない、という気もします。
5、ルー・リードのライブアルバムの感じに似てます、麻痺する感じ。
6、でもね、読後の感じで思い出すのは「彼方」、ユイスマンスの。
7、共通点「人が人でなくなっていくのを、見せ付けられる」。
8、イタリア編とアメリカ編。地名とか人名、いろんな固有名詞が喚起する情感をうまく使ってるよなあ。当り前か。
9、終章あたりで空腹を感じる人と何も食べたくなくなる人に分かれそう。
10、オレはちょっとだけ、ほんのちょっとだけハングリー

☆実はこの2番の回答がMMC女性陣の鼻息を荒くさせたのであった…。MMC事務局
シェルミール  いやしかしレクタ−君凄いっすね。麻酔はどうかけたんでしょうか。
脳の味、ねえ。想像つきませんが。あ、でも生海老のそれはなかなかの美味でしたよ。
 それはともかくT.ハリスは些末な部分の書き込みが上手いですね。
 いちサッカーファンとしては『ローマの試合』とやらの結果が気になったのですが。

☆MMC掲示板にて、シェルミール氏に「あんなことは可能なのか?」という質問を出したところ、止血さえうまく行けば、とのご回答でした。MMC事務局
南瓜  「レッド・ドラゴン」以来トマス・ハリスのファンで、「羊たちの沈黙」には驚喜し
ました。だから、その続編が出ると聞き、首を長くして待っていました。(たしか去年の夏頃知ったような・・、MMCの掲示板でだったと思う)
 面白かったです、最後の最後にたどり着くまでは。緻密でオドロオドロシイ描写、スリルがあって、レクター博士の怪物ぶりは健在で。フィレンツェは明るい街だと思っていましたが、読んでいるうちに、深い闇に包まれれた魔都という気がしてきました。(このオドロオドロしさが好き)
 でも、とにかく最後はアンマリです!
最後は、レクター博士の高笑いとスターリングの歯ぎしりが聞こえてくるような終わ
りにして欲しかった。そうであったら、「ああ面白かった」とため息をつきながら本を閉じることが出来たのに。最後の数ページは呆然としました、そして腹が立ちました。
 あれほどひたむきに頑張ってきたスターリングをあんな目にあわせるとは、酷すぎる。
それに、レクター博士にしても、あれで満足なのでしょうか。
 下巻に入ってから、博士が少しセンチメンタルになってきたような感じはしていました。
つまりは、強靱な精神のまま、独りで老いを迎えるのは難しいという事でしょうか。
老いたな、レクター博士!
 トマス・ハリスが老いたということかなあ、そうは思いたくないけど


これをもとに討論会が行われました。(会報21号より)

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